呪術廻戦 / Jujutsu Kaisen

『呪術廻戦』とは、芥見下々による日本の少年漫画。略称は『呪術』。『週刊少年ジャンプ』(集英社)にて2018年14号から連載している。『ジャンプGIGA』の2017 vol.1から2017 vol.4で連載された『東京都立呪術高等専門学校』を前日譚としている。2022年には累計発行部数は7000万部を記録。小説にて2019年に発売された『呪術廻戦 逝く夏と還る秋』、2020年に発売された『呪術廻戦 夜明けのいばら道』の累計発行部数は50万部。全国書店員が選んだおすすめコミック2019では1位。みんなが選ぶTSUTAYAコミック大賞2019では大賞を受賞した。
主人公は並外れた身体能力をもつ高校生の虎杖悠二(いたどりゆうじ)。オカルト研究部で起きた事件をきっかけに特級呪物「宿儺(すくな)の指」を食べてしまった虎杖が呪術師として呪霊という化け物と戦う姿を描いている。
2020年10月から2021年3月まで毎日放送・TBS系列でテレビアニメが放送された。2021年12月24日に長編アニメーション映画『劇場版 呪術廻戦 0』が公開。歴代興行収入14位の137億5000万に上った。『東京都立呪術高等専門学校』を原作としており、同作を『呪術廻戦 0 東京都立呪術高等専門学校』として単行本で発売した。

fb-132022009013254のレビュー・評価・感想

呪術廻戦 / Jujutsu Kaisen
10

呪術と人間ドラマが絡み合うダークファンタジー

「呪術廻戦」は、人間の負の感情が生み出す呪いをテーマに呪術師たちが呪霊と戦うダークファンタジー作品です。平凡な高校生だった主人公・虎杖悠仁が、呪物である「宿儺の指」を飲み込んでしまったことで呪術師としての運命を辿り始めるところから物語は始まります。虎杖は仲間や教師と共に呪いに立ち向かいながら、自分自身の存在意義や命の価値について葛藤を深めていきます。

物語の中心には、呪術という特異な設定を軸にした緻密なバトルと、人間ドラマが展開されます。特に「領域展開」などの呪術バトルの設定は斬新で、キャラクターそれぞれが持つ独自の技や戦術が視覚的にも戦略的にも楽しめる点が特徴です。アニメではバトルシーンの迫力がさらに強調され、視覚効果と音響が融合した圧倒的な映像体験を提供しています。

キャラクターの描写も非常に深くそれぞれが強い個性を持っています。虎杖の正義感に加えて、五条悟の圧倒的な強さ、伏黒恵の影を背負ったクールな性格、釘崎野薔薇の自立心など、各キャラクターが物語に深みを与えています。また、敵側の呪霊や呪詛師たちも単なる悪役ではなく独自の信念やバックストーリーが描かれ、複雑な対立構造が物語に緊張感を生み出している要因の1つです。

「呪術廻戦」は、ダークファンタジー特有の残酷さや重いテーマが描かれる一方で登場キャラクター同士の絆などがバランスを保ち、シリアスさと軽やかさが絶妙に織り交ぜられています。物語が進む中で、隠された真実や伏線が回収されるたびに新たな展開が待っており読者を飽きさせません。

呪いというテーマを通じて、人間の本質や弱さ、命の尊さを問いかける深いテーマ性が作品全体に流れており、単なるバトルアクションでは終わらない奥行きのあるストーリーテリングが魅力です。「呪術廻戦」は、バトルものとしてもキャラクタードラマとしても高い完成度を誇る現代ダークファンタジーと言えるでしょう。