違国日記

違国日記

『違国日記』とは2017年よりヤマシタトモコが『FEEL YOUNG』にて連載している、女性小説家である高代槇生が、疎遠である姉とその夫が急遽したことをきっかけに、姪である田汲朝を引き取り共に生活を送る様子を描いたハートフル漫画である。人見知りである槇生と社交的な朝の突如始まった同居生活を中心に描いており、親子とはまた少し違う奇妙な距離感である二人が時には衝突しながらも、お互いの家族の形を見つけていく。各登場人物の繊細な人物描写が見所の作品である。

8tyamaken-0404_0220のレビュー・評価・感想

違国日記
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孤独を育てる同居生活

交通事故で両親を亡くした女子中学生の朝は、母の妹である槇生の放った鮮烈な言葉によって、叔母との同居生活を始めることとなる。孤独を愛する少女小説家の槇生は、孤独になってしまった朝との同居生活に、戸惑いながらも、ぎこちなく、けれど丁寧に、慎重に、言葉を交わしていく。
性格の違う2人の生活は、すれ違いも多く、それが少し笑えたり、心が痛くなったりする。キャラクターの目と髪の毛が印象的に描かれており、髪の毛を手繰り上げる動作や、表情によってふわりと浮かぶ動き、睨みつける鋭い視線や、涙を流す描写が繊細で美しく感じらる。またそのギャップとして、デフォルメされて、ちんまりしたキャラが描かれる時は、緊張の息抜きになる。背景は余白が多くキャラクターの表情やセリフが物語の中心になる。セリフや文字がそれなりに多いので、言葉が好きな人におおすめできる。また何気に食べ物の描写が細く、小さく説明もあり、作中に出てくる餃子やホットドックは食欲をそそられる。
『違国日記』は漫画原作の作品である。小説家である槇生から放たれる言葉は、孤独を強いられた人に寄り添い、孤独と向き合った朝と共に、読者の心を、孤独なまま暖めてくれる。