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孤独を育てる同居生活
交通事故で両親を亡くした女子中学生の朝は、母の妹である槇生の放った鮮烈な言葉によって、叔母との同居生活を始めることとなる。孤独を愛する少女小説家の槇生は、孤独になってしまった朝との同居生活に、戸惑いながらも、ぎこちなく、けれど丁寧に、慎重に、言葉を交わしていく。
性格の違う2人の生活は、すれ違いも多く、それが少し笑えたり、心が痛くなったりする。キャラクターの目と髪の毛が印象的に描かれており、髪の毛を手繰り上げる動作や、表情によってふわりと浮かぶ動き、睨みつける鋭い視線や、涙を流す描写が繊細で美しく感じらる。またそのギャップとして、デフォルメされて、ちんまりしたキャラが描かれる時は、緊張の息抜きになる。背景は余白が多くキャラクターの表情やセリフが物語の中心になる。セリフや文字がそれなりに多いので、言葉が好きな人におおすめできる。また何気に食べ物の描写が細く、小さく説明もあり、作中に出てくる餃子やホットドックは食欲をそそられる。
『違国日記』は漫画原作の作品である。小説家である槇生から放たれる言葉は、孤独を強いられた人に寄り添い、孤独と向き合った朝と共に、読者の心を、孤独なまま暖めてくれる。