魅力怒涛型SF
・緻密な世界観の設定
・サブキャラに至るまで人物設定が細かい
・敬遠されがちな戦術面も飽きさせない
「ワールドトリガー」は読むほど、見るほどにその魅力にハマる「魅力怒濤型SF」です。
世界観の設定としては、地球と地球以外の世界が存在しているSF作品となりますが、ただのSF作品ではありません。自分たちが「善」、それ以外が「悪」と明確に区別されることはなく、「味方の中の敵」、「敵の中の味方」がその時々によって複雑に立ち位置を変えるため、読み込むほどにその面白さにはまっていきます。
主人公は作者先生曰く「4人」。この時点で物語として複雑すぎて破綻することを心配してしまいますが、4者4様の魅力により、随所に感情移入できるポイントと伏線を張り巡らせることが実現されています。また、主人公たち以外の人物背景の作りこみが細かく、1度登場した人物を使い捨てることがないため、初登場では名前だけしか明らかになっていなかった人物が回を追うごとに思想、能力、人物背景が明らかになりその魅力を発揮させます。一般的には「敵だった人物が味方になって大活躍」する人物が1作品につき1人か2人であるのに対して、本作では「活躍する元敵」も「意外性をもった人物」もその時々で多数出現します。きっとあなたの心に刺さる「推し」となる人物が登場すること間違いありません。
敵との戦闘場面においてですが、物語の進行を妨げがちな戦術面についても設定の深さと展開される戦闘の多彩さにより、決して飽きることはありません。
「長く楽しめるSF」、「推しが不足している」、「戦闘にアクション以外の要素も欲しい」そんな作品を探している方には「ワールドトリガー」をお勧めします。