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暗殺と教師との絆
「殺せるといいですね、卒業までに」。突然、黄色くてタコのような生物が、落ちこぼれクラス3年E組の担任になった。
あだ名は「殺せんせー」。生徒たちに課せられた任務は卒業するまで殺せんせーを暗殺すること。
ぶっ飛んだ方法で暗殺を試みるも驚異的な力で次々と回避されてしまう。それ以外は生徒たちのことを第一に考える教師の鑑だ。
殺せんせーの数々の言葉に生徒たちの気持ちが変わっていく姿が印象的である。
暗殺を通して、生徒たちの団結力が生まれたり、時にはぶつかったりする過程で、生徒たちの成長が感じられる。
生徒個人にフォーカスしたお話も入っている。優秀な兄と比べ続けられてきた生徒、ヒステリックになる母親の顔色を伺いながら生活している生徒、金銭的に貧しくて、学校規制違反のアルバイトをしているなど事情は様々だ。
生徒の心の奥にある悩みに殺せんせーや他の生徒たちが向き合っていく様子は、どこかで安心させられる気持ちになる。
なぜ、殺せんせーは生まれて、どうして教師をすることになったのか、真実には驚きを隠せない。
戦うシーンだけではなく、学園青春ものの要素も多く、見ている人を飽きさせない作りとなっている。こんな先生がいたら人生が変わっていただろうなと思わせる作品だ。