僕だけがいない街 / 僕街 / ERASED

『僕だけがいない街』とは、2012年7月号から2016年4月号まで『ヤングエース』(KADAKAWA)で連載された、三部けいによるサスペンス漫画である。コミックスは全9巻刊行され、累計発行部数は2020年12月時点で、電子版を合わせ549万部を超えた。
本作品は主人公の藤沼悟(ふじぬまさとる)が、意志と関係なく事件や事故の原因が取り除かれるまで、何度もタイムリープすることからSFの要素が強い。物語は藤沼悟が、連続殺人事件の犯人を目撃し殺されてしまった母の佐知子(さちこ)を救うため、長期間のタイムリープをする姿が描かれている。
タイトルの『僕だけがいない街』とは、事件を解決する中で、15年間植物状態になってしまった期間を指しているとされる。
2014年に「このマンガがすごい!」のオトコ編第15位、「マンガ大賞2014」で第2位を獲得した。さらにフランスのSF専門出版社「ActuSF」が選ぶ「歴史改変SF大賞」でグラフィック賞に選出された。テレビアニメは2016年1月から3月まで放送され、2016年3月19日に実写映画が公開された。藤沼悟役を藤原竜也が演じた。またNetflixで連続ドラマ化され、2017年12月15日から世界190カ国に配信された。藤沼悟役を古川雄輝が演じた。

Aya_82のレビュー・評価・感想

僕だけがいない街 / 僕街 / ERASED
10

リバイバル現象がどんなドラマを生むのか

藤沼悟(29歳)にはリバイバルという現象が起こる。それは近くで事件が起こると、悟だけ空間ごと時間が巻き戻るというもの。
事件を未然に防ぐと時間が動き出し、失敗すると、再び巻き戻る。
悟が交通事故に遭ったきっかけで、お母さんが北海道からお見舞いに来た。しかし何者かに殺されてしまう。その直後、悟にリバイバルが起こるが、北海道にいた小学5年生の頃に戻ってしまう。
頭脳は大人のままだが、体は小学生だ。
当時起きた連続誘拐事件が母親を殺した犯人と関係していると直感した悟は誘拐事件を未然に防ごうとする。
第一被害者である雛月加代を1人にさせないように試みたところ、母親から虐待させていることが発覚した。
加代が徐々に心を開いていく様子や、他の同級生たちの絆が感慨深い。悟の踏み込んでいく姿に周りも影響を受けていく。
警察を動かすため、悟は同級生と一緒に加代を誘拐をすることを決意する。
悟が行動を変えるたびに未来がどう変わるかを予想していくことが面白く、奮闘する姿が印象的だ。
リバイバルが絶妙なタイミングで起こり、展開のテンポが良く、読んでいて飽きさせない作品である。
真犯人の正体だけではなく、リバイバルを通して、どのように事件を解決に近づける過程は必見だ。