死とセックス。
スピッツを聴き出したのはロビンソンからでした。こんな音楽は今まで聴いたことがないと思いました。ボーカルの草野正宗は言います。スピッツの曲作りをする時のテーマは『死とセックス』だと。人間だけでなくすべての生物はいつか死をむかえます。不老不死などありえない。死は一つのイベントのようなものです。いつか死ぬことがわかっているのになぜか人間は生きることに執着します。絶対に逃れられない死にあらがう行為こそがまさにセックスだと草野正宗は感じているようです。子孫や己の遺伝子を後世に残すために人間はセックスをするのではなく、大切なひとを愛するが故ににセックスをするのでしょうか。それは誰にもわからないと思います。最も深く人を傷つけるのもまたセックスなのかもしれない。生死について自分の中に大きな矛盾を抱えています。その矛盾をよりファンタジックに描いた世界観こそがスピッツの音楽なのかもしてません。じゃないとこれだけの多くの人々が共感するはずがない。最近になって気づいたのだけど、ロビンソンがリリースされた日が僕の二十歳の誕生日だったんです。ある種の運命的な縁を感じています。スピッツのメンバーも50歳になりました。しかし、楽曲が色あせることはありません。10年後も今と変わらずスピッツを聴き続けると思います。いや、死ぬまでかもしれません。