人生で見た漫画の中で一番泣きました。本当にいいセリフを言っています。
主人公の炭次郎はある日、鬼に家を襲撃されます。そしてそのことをきっかけに妹の禰豆子は鬼になってしまいます。炭次郎は家族の敵をとるためと、妹を人間に戻すために鬼殺隊員となり、鬼のボスである鬼無辻無残を探します。
鬼無辻無残にたどり着く過程で数多くの様々な鬼達と遭遇します。鬼達と対戦を繰り返し鍛錬を積む中で炭次郎は強く鍛えられていきます。
鬼殺隊最強とうたわれる「柱」達や仲間達と出逢い、みんなで力を合わせて鬼のなかでも最強と言われている「十二鬼月」と対戦していきます。
『鬼滅の刃』の魅力は敵である鬼が倒されたあとにあります。普通の物語は「正義」と「悪」がはっきりと明確にわかれていて、大魔王を倒し「めでたしめでたし」といった感じで幕を閉じるものばかりです。でも『鬼滅の刃』は違うのです。鬼が朽ち果てていくなかで、人間だったときの記憶が蘇ります。「なんで自分は鬼になって、大勢の人を殺してまで生き延びる道を選んだんだったっけ」と、自問自答を繰り返す中で真実が見えてきます。
人間社会は残酷で、「正義が勝つ」「良い行いをしていたら幸せになれる」といった現実からはほど遠く、人は絶望のふちに立たされたときに自ら鬼になるという道を選択してしまうのです。
特に鬼が朽ち果てていく過程の回想シーンで涙を誘うのは「遊郭編」に出てくる十二鬼月で、上弦の陸、堕姫と、その兄の妓夫太郎の話です。あとは上弦の参のアカザの話がとても悲しく、涙がとまりませんでした。