最高の舞台で因縁の決戦を!(『劇場版ハイキュー‼ ゴミ捨て場の決戦』のレビュー)
2012年から2020年までの約8年間、『週刊少年ジャンプ』で連載されていたバレーボール漫画『ハイキュー!!』。
かつては強豪と呼ばれた宮城県立烏野(からすの)高校をメインにしたこの作品は、様々な学校との闘いを臨場感たっぷりの画力で描き尽くしてきた。さらにたくさんの魅力的なキャラクター達が実際に動くアニメとなった事で、より多くの人の目を楽しませてきたのである。
高校バレー界における甲子園ともいうべき春の高校バレー、通称〈春高〉を目指す代表決定戦から息をのむ展開の試合が続く。念願の舞台に立った烏野高校男子バレーボール部員たちは、各県の代表たちとの試合で大きく成長を遂げながら、いよいよ宿命のライバル・東京都代表の音駒(ねこま)高校との一戦を迎える。それがこの『劇場版ハイキュー‼ ゴミ捨て場の決戦』だ。
ネコとカラスという両校の名前から想起されたこの戦いが、互いの監督が学生だった頃に始まった長い歴史の中で、やっと全国の舞台で実現される。
「監督の思いを継いで…」ということ以上に、練習試合や合同合宿などで研鑽を積んできた仲間同士。そしてこの戦いを楽しみにしてきた選手たち自身の躍動が実際の試合時間に合わせた85分で体感できるこの1本は、バレーボールに熱い青春時代を捧げてきた人はもちろん、スポーツに無縁だった人をも魅了してしまう仕掛けが沢山詰め込まれている。
選手目線で捉えるボールの揺らぎや痛みすら感じるようなレシーブの衝撃など、画面を通して自分自身がコートの中にいるような錯覚さえ起こさせ、多くの人の心にかつての青春を思い出させるだろう。
『ハイキュー‼ ゴミ捨て場の決戦』は、もちろん単体で観ても面白い映画ではある。だがキャラクター達のバックボーンを知り、彼らの歩みを追ってからの方がより大きな感動を得られるため、ぜひアニメ本編からご覧になる事をお勧めしたい。