ヒーローものの主人公なのになかなか無い展開に見舞われる
ヒーローが悪い敵をやっつける。
まさしく「ワールドトリガー」は勧善懲悪の王道漫画である。
だが主人公の修が戦いに負けそうになる瞬間に親友の遊真に助けられ、遊真が正体を明かせないが故に嫌々ながらとはいえ自分で倒したわけではない手柄をみんなから称賛される。
なかなか無い展開である。
また、敵が勝負をしかけてきた大規模侵攻の際に、幼馴染の仲が良い女性・千佳の力を借りて勝負を優位に進めようとするが失敗し、千佳を生命の危機に陥れてしまう。
これもなかなか無い展開である。
この「ワールドトリガー」は一見単純な勧善懲悪の王道漫画に見えるが、実は国同士の戦いである為に主にチーム戦で戦う団体戦がメイン。この敵と味方だけで無く、味方同士の人間関係こそが実はこの漫画の魅力なのである。
だからこそ修の真面目さやひたむきさに対してただ応援するだけでなく、場面によっては「何やってるんだよ」とか「そこはそれじゃ駄目だろう」といった否定しつつも、主人公の修にいつの間にか肩入れしてしまうのである。
ちなみに主人公の修のみを中心にしてしまえば、普通の真面目な少年が努力して花開くといった、これはこれで王道の展開になると思う。「ワールドトリガー」は努力家の修と、天才肌の親友遊真と、持って生まれた素質を持つ幼馴染の千佳と、実力者で実績もある迅の4人が主人公で、4人を中心にして人間関係が広がっていくので飽きないし、本当に面白いのである。