原作を知らなくても楽しめる映画「THE FIRST SLAMDUNK」
1990年週刊少年ジャンプで連載され瞬く間にアニメ化。映画としても人気作品となった井上雄彦先生の「SLAM DUNK」。
不良少年で主人公の桜木花道を中心に、ヒロイン赤木晴子ら仲間との湘北高校バスケットボール部での成長を描いた伝説のバスケット青春漫画である。
当時日本にバスケのプロはなかったが、それでも中学だった息子の友人も何人もバスケ部に入ったくらい影響を与えていた作品。
映画公開の予告が出ると、日本だけでなく映画を楽しみに待っていた全世界のスラムダンクファンがSNSで盛り上がった。実際、映画公開が全世界でもニュースになるなど、注目の高さがわかる作品なので私も1ファンとして楽しみにして行ってきた。
ここから若干ネタバレありで、映画について紹介する。
映画は、漫画で最終回として描かれたインターハイ2回戦で対戦した過去インターハイ3連覇の絶対王者、秋田県代表校の山王工業高校との激戦。原作ではメンバーの1人として描かれた2年生ポイントガードの宮城リョータ目線で作られたオリジナルストーリーだ。
漫画を読んでいる方はあの山王戦の感動がよみがえるはず。何より試合中の息遣いや、体育館でシューズがこすれるキュっという音、筋肉がぶつかり合う音や、一気に相手を抜き去るスピード感などが、The Birthdayが歌う「LOVE ROCKETS」や10-FEETの「第ゼロ感」の爽快なロックの音楽とマッチし、まるで体育館で本当にバスケットの試合を見ているような高揚感、臨場感を味わえた。
結末がわかっていても引き込まれる演出は時間を感じさせないもの。
今回の主役、宮城リョータがどうしてバスケットをやり始めたのか、どんな思いで王者に挑むのか。その過程が要所要所に盛り込まれ、漫画では描かれていない彼のバックストーリーが作品自体に深みを与え私も泣いてしまった。
ただ、漫画を知らない「THE FIRST SLAMDUNK」初めての人にとっては、メンバー構成がわかり辛く、「湘北?山王って何?」となるかもしれないのと、漫画で描かれている湘北高校の安西監督の“名言のよさ”は伝わらないだろうなと思った。
総じて、SLAMDUNKを知らなくても、映画を見終わった後にちょっとバスケの試合を見てみたいと思えるくらいの疾走感と躍動感の溢れるエンターテインメント映画だった。
エンドロール終わった後に本当のエンディングあるのもよかった。
2022年に拝見した映画の中では自分が楽しみだったことも踏まえ、星8つ挙げたい。
映画館に足を運んでいるのは漫画で育った親とその子供だけでなく、若いカップルや、1人女性も多く来場していたのでお1人様でも見やすいと思う。
映画館で配布されているオリジナルステッカーは人気で終わってしまいもらえなかったのが悔やまれる。