自分に自信を持てない少年の目覚ましい成長、少年と彼をとりまく人々との深い絆や愛に涙した(劇場版のレビュー)
『週刊少年ジャンプ』に連載され、アニメ化もされた『呪術廻戦』という作品の前日譚ともいえるストーリーが、『劇場版 呪術廻戦 0』である。
この映画の内容が『呪術廻戦』本編に繋がる部分もあり、すでに本編を知っている人には「なるほど」と思わされる部分も多いだろう。キャラクター同士の関係性が丁寧に描かれているので、映画を見た後で再びアニメ本編(または原作コミックス)に触れることで新たな気付きがあり、より深みを感じることができる。
この作品の主人公・乙骨憂太は、幼いころ結婚を約束するほど思いあっていた祈本里香という少女に呪われている。交通事故で命を落とした里香は、その死後「呪霊」となることで憂太の元にとどまった。
里香の呪いとしての力はすさまじく、やがて「特級過呪怨霊」と呼ばれて恐れられるほどの脅威となってしまった。それほどまでに里香の力を増幅させたのは、他でもない憂太への深い愛情だった。
話が進むにつれ、里香が憂太の元にとどまらざるを得なくなった真の理由が判明し、強敵との戦いの末その呪いは解かれて里香は憂太から離れて天に召されて行く。2人の力が1つに重なって脅威に立ち向かう姿は、2人の深い愛で結ばれた関係性を強く感じさせられて涙せずにはいられなかった。
またラストシーンでは、この映画の1つの軸ともなる強敵・夏油傑の人物像について新しい発見があり、それは『呪術廻戦』本編ともつながる重要な要素にもなってくる。
『呪術廻戦』のファンであっても、まだ未読・未視聴であっても、楽しめること、また、感動することは間違いない。