登場人物の変化と成長が綺麗に描写されているアニメ
このアニメは千年以上を生きる魔法使いのエルフ「フリーレン」が、勇者たちと共に魔王討伐をした「その後」の物語です。
魔王討伐後の物語というのも斬新な切り口ですが、何より驚いたのは勇者が1話で死んでしまうことです。千年以上生きるエルフのフリーレンにとって時間の流れはとても早く、魔王討伐後も50年後に会おうと言ってあっさりと解散してしまいました。そして50年後に勇者と再会したとき、勇者はとても老いており、その後すぐに死を迎えてしまいます。その姿を目の当たりにしたフリーレンは、人を知ろうとしなかったこと、勇者を知ろうとしなかったことを後悔しました。その後悔から、人を知る旅を始めたのです。
ここまでが1話で描かれることにとても衝撃を覚えました。まず、勇者が1話で死んでしまうアニメは他に見たことがありませんでしたし、あっさりと場面が50年後に移るので、主人公のフリーレンが体感している時の流れの再現のように感じ、展開の早さの中に少し神秘的なものを感じます。
2話以降の人を知る旅では、魔王討伐時の仲間との再会や、新たな旅の友など、様々な人との出会いがあります。最初はあっさりと50年後に場面が移り変わっていましたが、徐々に数年後、1年後、数ヶ月後と場面が移り変わる際の年数が少なくなっていき、時の流れの感覚が人間に近づいていることがわかります。フリーレンが人を少しずつ理解していることが丁寧に表現されており、盛り上がる感動よりも、しんみりくる感動があります。