ちょうど良い展開スピード
面白い作品は数あれど、これほどスムーズに完結している作品はあまりない。
なぜならやっと「敵」を倒したと思ったら、次はその「黒幕」が現れて…。そして今度は「世界そのもの」が…。
そういった具合に主人公はどんどん戦いの日々へと身を投じて行くが、この作品は主人公が「妹を人間に戻す為に鬼を倒す」「鬼を倒す為に力をつける」「仲間達との出会いと別れ」「鬼を仲間達と協力して倒す」というシンプルな構造をしており、最終的にハッピーエンドで締めくくられている。
物語の起承転結が非常に分かりやすく、テンポよく物語が進んでいくのが面白いので、全23巻であれど読み進めるのに苦労はしない。シンプルといってもただただ単調というのではなく、よく読み込んでいくといたるところに伏線や細やかな描写、敵・味方関係なく各キャラクターの深層心理や過去の深堀りがされているのだ。それが一層、読者を物語の世界へと惹きつける。
もちろん物語の最後には読者が気になるであろう、鬼を倒した「その後」の話も描かれている。舞台である大正から現代へと物語は移り変わり、主人公達の想いが後世まで紡がれている様子は、まるで映画のポストクレジットシーンのように感じられる。なんとも綺麗に完結されていた作品である。