姪と叔母の同居生活の中で見えてきた新しい愛のかたち
友人から勧められ、何気なく手に取った1冊でした。
主人公は交通事故によって、ある日突然両親との別れを余儀なくされた15歳の少女・朝。両親の葬儀をきっかけに、朝は母方の叔母である高代槙生(こうだいまきお)のもとに引き取られることに。この槙生はかなりの人見知りなのですが、姪を引き取ると決めたときの彼女なりの覚悟には胸が震えました。それぞれの心理描写や独白が細やかに表現されているので、登場人物たちの気持ちが痛いほど伝わってくるのです。さらに槙生の職業が小説家ということもあり、彼女の台詞ひとつひとつが非常にユニーク。ちょっとした台詞にハッとさせられたり、時にはクスッと笑えたり、台詞回しにおいても読者を飽きさせません。叔母と姪ならではの可笑しみあふれる掛け合いは、この作品の魅力のひとつではないでしょうか。
ちなみに、この「違国日記」は、書店やWeb上のブックストアでは「少女漫画」のジャンルに分類されます。しかし読み進めていくと、ジャンルの枠をはるかに超えた人間ドラマであることがわかるはず。少女だけでなく、大人も楽しめる作品だと思います。
天真爛漫な少女と、コミュニケーションが苦手な人見知りの小説家の同居生活。悲しみを抱えた15歳の朝が、むき出しの心で叔母の言葉を受けとめていくシーンの連なりに、胸を打たれる作品です。