Radiohead / レディオヘッド

Radiohead / レディオヘッド

Radiohead(レディオヘッド)とは、1992年にイギリスでメジャーデビューしたロックバンドである。「Creep」が世界中で大ヒットし、以降アルバムをリリースするたびに国内外問わず大きな影響を与えている。活動中でありながら「ローリング・ストーンの選ぶ歴史市場最も偉大な100組のアーティスト」に選出されている。オルタナティヴ、シューゲイザー、ポストパンクなどの路線からエレクトロ、アンビエント、コンテンポラリー的な路線へ突如転換して見事成功を収めた驚異的なバンドとして世界に知られている。

hayasaka_sacas1のレビュー・評価・感想

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Radiohead / レディオヘッド
8

とにかく新しい音楽を知りたい、でも何から聴けばいい?Radioheadです。

私がなぜ友人たちにRadioheadを勧め、なぜ友人たちは皆Radioheadの虜になったのか。
1992年、イギリスでとあるロックバンドがデビューした。Radioheadである。私が勧めた時、友人たちは口を揃えて言った。
「なんか暗いけど、かっこいい音やね。ボーカルの声がちょっとね」
私も第一印象はそうだった。陰気で、卑屈で、切なげな雰囲気のあるロックバンドというやつだ。そしてどこか新しかった。新鮮で今まで感じたことのない感覚だった。高校時代の私は、「Radioheadを聴いている自分、知っている自分はなんてイケてるんだ!」と思ったものだった。今でも思っている。そう、Radioheadを聴いているとイケているような気がしてくるのだ。
しかし彼らのアルバムを順に聴いていくにつれ、少しずつ不穏になってくる。別のミュージシャンのプレイリストに飛んだと錯覚してしまうほど、楽曲の空気感が様変わりしていくのである。聴き終わった私はもうイケていなかった。Radioheadの魅力を全て理解できない自分に劣等感すら抱いていた。頭を抱えた。

彼らは時代ごとにプレイスタイルや音を次から次へとアップデートし、ジャンルの壁すら超えていった。陰気で卑屈に思えたロックバンドが、気づけば三本のギターのアルペジオの海を美しい旋律が泳ぐポストロックへ、電子音や今まで聴いたことのない楽器の響きの隙間をか細いボーカルが囁く新世界へ、打ち込みのビートの上をぼやけたギターの変則コードがループする異世界へと変貌を遂げていくのである。
彼らのキャリアで一貫しているのは、革新性である。それは彼ら自身のプレイにも言えることだが、その時代の流行や音楽業界全体の風潮等へのものだ。しかし、Radioheadを聴く我々は、そのような難しいことを考えて頭を抱える必要はない。ただ彼らの音楽に耳を傾け、聴き馴染みのない音の中で何かを掴もうとすれば良いのである。

あらゆるジャンルの音楽を吸収し、再構築を繰り返しているRadiohead。その革新性の中にあなたが一つでも「好き」を見つけられたのだとしたら、新たな楽しさや美しさを日々の生活で見つけることができる。他のミュージシャンにだって見出すことができる。私の友人たちは、Radioheadきっかけでクラシックやエレクトロ、ジャズにまで興味を持ち、今日も新たな「好き」を掴もうとしている。
あなたはこれからまず、Radioheadを聴く。Fake Plastic Treesが良いだろう。あなたのこれからの日々の、何か良いことが起こるきっかけになれば幸いだ。