歴史に残る名作
個性的だが人間味があるキャラクターたちと、丁寧な描写が特徴的な少年マンガ。主人公の炭治郎はジャンプ主人公で一番心優しく真面目な性格のため、作品を読んでるうちに心から応援したくなる。遊郭編で何度も何度も堕姫や妓夫太郎にやられても最後まで立ち向かう姿、刀鍛冶の里編で逃げ続ける半天狗にも諦めず追う姿には読者にも勇気を与える。主人公の仲間たちにも一人ひとり生い立ちが細かく設定されているので、共感できて好きになるキャラクターが絶対に見つかると思う。仲間の成長もこのマンガの魅力のひとつであるが、特に、弱気な善逸が最終決戦で炭治郎たちのために戦う姿、仲間意識が乏しかった伊之助が仲間のために泣く姿は自分の子どもの成長を見ているくらいに感動する。敵の鬼の、人間から鬼としての成り立ちも同情するものがあり、特に猗窩座のエピソードは映画で無限列車編を見たが最後まで原作を読んだことがない人に読んで欲しい。他にも伊黒と蜜璃の恋模様、実弥と玄弥の兄弟の確執の経緯、無一郎が心を閉ざした理由など、鬼殺隊の柱たちのエピソードもおすすめである。最後に鬼舞辻無惨を倒した後、炭治郎たちが紡いだ未来図が描かれており、まるで現代の私たちも彼らが作った未来で生きてるのかと思わせてくれる。