ワールドトリガー / ワートリ / World Trigger

ワールドトリガー / ワートリ / World Trigger

『ワールドトリガー』とは、2013年より葦原大介が『週刊少年ジャンプ』で連載を開始し、2018年より『ジャンプスクエア』に移籍した漫画およびそれを原作としたアニメ、ゲーム作品。現代の日本に、突然異世界から近界民(ネイバー)が現れ、三門市という街を襲った。そして、それに唯一対抗できる界境防衛機関「ボーダー」という組織が作られた。そのボーダーの隊員である三雲修が、異世界からやって来たネイバーの転校生・空閑遊真に出会うところから物語は始まる。ジャンプ作品としては異質であるが故、コアなファンも多い。

Oku7のレビュー・評価・感想

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ワールドトリガー / ワートリ / World Trigger
8

読めば読むほど味が増していく「遅効性SF」

「近界民(ネイバー)」と呼ばれる異世界人との近未来SFバトル漫画です。
ジャンルとしてはSFバトル漫画といったもので、異世界の近未来的な戦闘技術を現代に落とし込んだ能力モノバトル漫画になっています。

一つ目のおすすめポイントは『噛めば噛むほど味の出るバトル』です。
この作品は例えば異世界転生チート物や剣と魔法のファンタジーのような派手さや圧倒的強者による爽快感は少なく、逆に言うと平凡な主人公が知略を絞って敵を翻弄し、挫折と苦悩の中で勝利をもぎ取るといった泥臭い戦いが多い印象です。
それ故に一回一回の戦いの勝利の後味が程よく澄んでいて、後から二度三度と読み返したくなり、いわゆるベストバウトと呼ばれるような濃厚な戦いを堪能する事ができます。

二つ目のおすすめポイントは『全てのキャラが魅力的な群像劇』です。
登場人物は比較的多いですがそのほとんどに思想・信念・矜持・境遇といった魅力があり、それらの人間関係が絡み合いながら物語を形成していく様は非常に良質な群像劇を見ている印象になります。

三つ目のおすすめポイントは『カスタム性と想像性の高い戦闘仕様』です。
本作では「トリガー」と呼ばれる武器を用いて戦う事になります。
これは自身の「トリオン」と呼ばれる物(ゲームでのMPに近い概念)を消費して、様々な武器を具現化させて戦うものとなっており、例えば「剣」「弾」「盾」「銃」といった一般的なものから「小型のジャンプ台」「姿を隠すマント」「ダミーのビーコン」といったギミック的なものまで色んなものを作り出す事が出来ます。
これによって「狙撃銃をメインに使うが寄られると刀を抜くアクション派スナイパー」「両手にマシンガンを用いて面での制圧を得意とする重火力ガンナー」「ジャンプ台を駆使して縦横無尽に駆け回り暗殺者のように敵を刺すスピードスター」「盾と剣を用いて守備型の戦いを得意とする防御型アタッカー」といった様々なカスタムが可能となり、それによって様々な戦略と想像性を生み出すワクワク感があります。

このように大きな派手さは少ないが実直なストーリー展開やキャラクター、そして読者のワクワク感を刺激する漫画としておすすめの作品です。