後から効いてくる面白さ
「ネイバー」と呼ばれる異次元の侵略者から世界を守るために戦う組織「ボーダー」。その落ちこぼれの少年・修と、兄が行方不明になってしまった幼馴染の少女・千佳、転校生としてやってきた実はネイバーの少年・遊真がボーダーでチームを組み、戦う物語…とだけ言えば、よくある異世界バトルものと感じますが、この作品の凄いところは、読めば読むほど「あの時のキャラの行動はこういう意味があったのか!」「あの攻撃、ここで効くんだ!」と思わされる展開が多いところです。ファンからは「遅効性SF」と言われるほどです。
主人公の一人である修は、能力的には落ちこぼれですが、そのことを自覚して力不足を補う戦い方を模索し続け、「弱い人間には弱いなりの戦い方がある」と身をもって示してくれます。そうまでして戦おうとする理由は「ぼくがそうするべきだと思っているからだ」の一言が良く表していると思います。
お勧めは中盤以降の「ランク戦」。集団戦の描写がとにかく巧いです。それぞれのチームに目標や思惑があり、「その達成の為にどう戦うか?」というのを、主人公たちだけでなくキャラクター皆が良く考えています。一方で、メンバーの多くは中高生であり、家族や進学の事とどう折り合いをつけるか…という「青春」な一面も描かれます。
先の展開がどうなるか予想がつかず、楽しみな作品です。