現代でも共感できる緻密な人間ドラマの名作
彼氏との同棲の為に東京へ来た小松奈々と、バンドミュージシャンとして成功を目指す大崎ナナ。二人の「ナナ」が上京する新幹線での出会いをきっかけにルームメイトとなるという導入から始まります。
ナナの属する「BLACK STONES」のバンドメンバーや、ナナの恋人である本城蓮が属する「TRAPNEST」のバンドメンバーなど、多数の個性豊かなキャラクターたちの人間ドラマが展開される作品です。
この作品の魅力はそれぞれのキャラクター達の人間性がリアリティをもって丁寧に描かれている点です。
特に恋愛ストーリーの少女漫画では人間的にきれいで真っ当で理想的なキャラクターが多い印象ですが、『NANA』に出てくるキャラクター達は必ずしも真っ当ではありません。
恋人がいるのに別の男性と関係を持ったり、自分の彼氏と別の女性との関係性に嫉妬したりとキレイではない感情が等身大で描かれており、時にはズルくてだらしないキャラクター達の内面が垣間見ることもあります。
ただ、そういった点が共感を呼びストーリーへの没入感を生んでいるといえるでしょう。