SLAM DUNK好きの人もそうでない人も必見!最高の解放感を与えてくれる名作「THE FIRST SLAM DUNK」感想
言わずと知れた名作バスケ漫画 SLAM DUNKの作者井上雄彦先生が脚本・監督を務めた本作。
SLAM DUNKが好きな人だけでなく、知らない人にもオススメしたいそんな作品です。
私自身、SLAM DUNKは未読でほとんど知識なしで鑑賞しましたが、映画館で初めてガッツポーズをしました。
そして当時真冬でしたが、汗をかきました。
物語の舞台は原作でもクライマックス、インターハイ3連勝中の絶対王者山王工業との試合。この試合と今作の主人公宮城リョータの過去が交互に描かれていきます。
本来原作ではバカでまっすぐな自称天才桜木花道が主人公なわけですが、今作はそのチームメイトの宮城リョータが主人公なのです。
私はこの英断がこのTHE FIRST SLAM DUNKという作品を名作に押し上げたと感じました。
映画の気持ちいい構成として「抑圧からの解放」がありますが、主人公を宮城リョータに据えることによってこれでもかというくらいに観る者に解放感を与えてくれる作品になっています。
物語は宮城の小学生のころから始まります。兄と1on1でバスケをやる宮城、もちろん技術も体格も兄の方が上なわけですから、ドリブルで抜こうにも抜けません。格上との対峙に心臓もバクバクで挑む刹那に、抜けそうな一瞬が訪れます。しかし、その瞬間兄は友達に誘われて釣りに行きそのまま不幸にも亡くなってしまうのです。
ここで兄を抜けそうだったのに一生抜けなくなってしまったという抑圧が描かれます。
一方試合のシーンではこれまたディフェンス最強の山王の選手と対峙し、ドリブルでなかなか出し抜くことができずに鬱屈とする宮城の姿が描かれ、さらに観る者に抑圧を感じさせるシーンが続きます。
そして、宮城の母との過去や、これまでの背景をつづる中で最高に気持ちいい瞬間が訪れるのです。
この瞬間は是非自分の目で味わっていただきたいです。
上述の通りストーリー展開が優れているのはもちろん、音響にも目を見張るものがありました。
床にこすれるバッシュの音、ボールが床にバウンドする音がリアルで臨場感を感じさせます。
その一方息をのむような静寂も効果的に使われており、グッと惹き付けられます。
秀逸なストーリー展開と音響によってさらなる名作として輝いでいるわけです。
いかがだったでしょうか?
主人公を変え、映画として描くのは大変勇気のいることだっただろうに、うまく構成し新たに最高の1本を作り上げた井上先生には頭が上がりません。SLAM DUNKがもともと好きな人も、全く知らない人も楽しめる作品になっているので、是非自分の目で観て楽しんで頂けると幸いです。