君に届け / 君届 / Kimi ni Todoke: From Me to You

君に届け / 君届 / Kimi ni Todoke: From Me to You

『君に届け』とは、2006年1月号から2017年12月号まで『別冊マーガレット』(集英社)に連載された、椎名軽穂による少女漫画である。本作は当初『別冊マーガレット』の2005年9月号に読切掲載された。また2018年5月号から2022年6月号まで『君に届け 番外編 ~運命の人~』が、同雑誌で不定期連載された。コミックスは全30巻と番外編全3巻が刊行され、累計発行部数は2019年10月時点で3,300万部を超えた。物語は性格は良いが見た目が暗い黒沼爽子(くろぬまさやか)が、学年で人気者の風早翔太(かぜはやしょうた)と親しくなり、高校生活のなかで成長していく姿を描いてる。本作は風早の白馬の王子様のような振る舞いと、爽子の他人の気持ちを大事にする優しい姿が読者の心に刺さり人気を呼んだ。2009年10月から2010年3月までテレビアニメの第1期、2011年1月から3月まで第2期が放送され、黒沼爽子の声を能登麻美子、風早翔太の声を浪川大輔が担当した。実写映画は2010年9月から公開され、爽子役を多部未華子、風早役を三浦春馬が演じた。この漫画は「実写化してほしい漫画作品ランキング」で常に上位にあがりファンからの期待が高かった。映画観客動員ランキングでは初登場第2位となり、ぴあ初日満足度ランキングでは第2位を獲得した。
2023年3月にはNetflixで南沙良主演、鈴鹿央士の共演で実写ドラマ化された。

2khasechiのレビュー・評価・感想

君に届け / 君届 / Kimi ni Todoke: From Me to You
9

心の琴線に触れる作品です

暗くて不気味、近寄り難い「貞子」、爽やかで良い人「風早」というレッテルを貼られた高校生二人が、悩みもがきながら成長していく物語です。
不器用ながらもまっすぐ誠実に相手に向き合う姿、相手に心が届いた瞬間…。涙無しでは読み進められません。
どのキャラクターも心情が丁寧に描かれていて、みんな何かしらに悩んだり、どこか心の弱さがあります。きっと自分や友達に重なるところもあって、愛おしい気持ちになるのではないでしょうか。
千鶴と龍の2人は幼馴染ということもあり、恥ずかしがっているところも素敵です。2人の駆け引きの無い真っ直ぐな気持ちは応援せずにはいられません。
優しくて思いやりのあるあやねちゃんは自己肯定感がとても低くて、どんなに周りが褒めてくれても自分を好きになれないという心情に、共感できるところも多かったです。

大人になっても、高校生くらいの頃の思い出は、宝物のように覚えている方が多いんじゃないでしょうか?
小さなことに一喜一憂して、楽しいことも赤面するほど恥ずかしかったことすら、宝物。
「高校生」という繊細で敏感でまっすぐな時期だからこそ感じ取れる大切なモノが、この作品にはギュッと詰まっています。
なかなかの長編ですが、全体を通して寂しさと優しさに満ちています。みんなと一緒にいるのに何だか寂しい、時間が止まってほしいと思う程かけがえのない瞬間、友達では埋まらない心…。そんな想いがキャラクター達を突き動かしていています。
読んで損はない作品です。