秒速5センチメートル / 5 Centimeters per Second

秒速5センチメートル / 5 Centimeters per Second

『秒速5センチメートル』とは、2007年に公開された日本のアニメーション映画作品およびそれを原作とした小説・漫画などの派生作品。「君の名は。」(2016年)で有名な新海誠監督の劇場公開長編第3作目。思春期から成人までの男女の心の距離と速度をテーマとした3つの短編の連作。現実の現代日本を舞台に、少年・少女を主人公とした恋模様や葛藤が描かれる。

Room3735のレビュー・評価・感想

秒速5センチメートル / 5 Centimeters per Second
9

いろんな感情を、美しい絵とともに味わう時間

「君の名は。」や「天気の子」で一層有名になった新海誠監督の2007年上映作品。
まずなんといっても絵がとても美しく、一瞬一瞬の時間が本当に丁寧に描写されていると感じます。見どころとなるシーンはもちろん、そこに行くまでの過程や登場人物の気持ちの変化まで、全てのシーンが色濃く脳裏に焼き付きます。

本タイトルは短編3本立て。恋愛の美しさや幸福感、そして切なさを感じる1話。想っていても伝わらなかったり、想っている人を忘れられないような2話と3話。苦しくなるような感情もあり、登場人物一人一人の立場に入り込めます。そしてずっと切ないです。
今どんな恋愛をしていても、過去にどんな恋愛をしていても、すっと受け入れられる映画だと思います。綺麗で繊細な映像と共に、完璧な挿入歌・One more Time,One more Chance(山崎まさよし)も本当に素敵で、心に刺さります。

少しだけ女々しいような気もする主人公のたかきくん、小さい頃からの永遠のヒロインのようなあかりちゃん。そしてたかきくんに一途に恋するかなえちゃん。みんなみんな魅力的で、一生懸命に生きているように感じます。たかきくんの最後の心境さえもなんとなくわかるような気がしますし、しかし現実にいたら男らしくない、もっと彼女を大事にしてと叱ってしまいそうな展開。

桜の描写も相まって、切なくて儚くてとにかく美しくて、でも苦しいです。ストーリーの終わり方は複雑な心境のままですが、夢を見ているようないい時間を過ごせます。