「いつか、この島に行きたい」必ずそう感じる。
映画には、ストーリーの急展開や予想にしない結末を求めている人が多いのではないだろうか。
では、この映画には何がつまっているのかというと「何も無いこと」がつまっている。
さらに表現すると「何も必要ないこと」を伝えている。
まるで、ヒーリング音楽のBGMを流しているようなゆったりした映像。
画面いっぱいに映し出せれる青い海。こういった朝ごはんが食べたくなるような食事のシーンの音。
特に何も起きない日常が、この映画では起きている。
主人公のセリフにこんな言葉がある。
「携帯電話がつながらなさそうな場所に行きたかった」
これが、この映画のなかでは印象深い言葉である。きっと、現代に生きる全員が、そんな気持ちを一度は抱いたことがあるのではないか。
また、この映画は鹿児島県最南端の島「与論島」が舞台だが、とくに与論島がワードとして出てこないのも、また良い。
人間は言葉にして実態を把握したがるからこそ、島での日常の映画であるにも関わらず、ただ飛行機で来る「携帯電話のつながらない場所」として設定されているのも、映画の世界観としてはぴったりである。
日常生活に少し疲れた時、もうスマホを見たくない時、人間関係に疲れた時、人はきっとこの映画を思い出す。