NANA / ナナ

NANA / ナナ

『NANA』は、漫画家矢沢あいによる人気を博した少女漫画である。この作品は集英社の『Cookie』という少女漫画雑誌で連載されていた。完結しておらず、漫画家の療養のため休載中となっている。ストーリーの展開は、東京に住んでいる彼氏を追いかけて上京する主人公の小松奈々と、プロのミュージシャンを目指して同じく東京に向かう大崎ななという同じ名前を持つ女の子が出会い、友情や恋愛、挫折や成長をしていくというもの。小学館の漫画賞を受賞した作品で、累計発行部数は5000万部を超えている。映画やアニメ、CD作品だけでなく、世界各国の言語に翻訳されて、世界の町の本屋でも目にするほど広く展開されている。
メインキャラクターが二人存在するかたちだが、性格は対照的に描かれている。ファンの間では、小松派と大崎派にわかれることもあるが、共通項としてあげるならば、どちらもおしゃれで、ファッションセンスが良い。映画では、BLACK STONESとTRAPNESTというバンドが物語の要素となっており、中島美嘉や伊藤由奈らの実力派歌手が起用され、少女漫画からの映画という枠には収まらない音楽性の高い作品になっている。

kazu_w6のレビュー・評価・感想

NANA / ナナ
10

色褪せない名作

矢沢あい作品はおしゃれな絵柄とファッションやインテリアもさることながら、緻密に張られた伏線や、丁寧な心理描写が見事です。
特にNANAはそれまでの少女漫画テイストとは違い、恋愛、仕事、人間関係などにリアリティがあり味わい深い辛口な大人向けの作品になっています。

ストーリーは二人のNANAを中心に進みます。
まさに少女まんがの主人公!な平々凡々な夢見がちな奈々と、パンクロックバンドのボーカルを勤めるナナ。
見た目も性格も正反対の二人が運命的な出会いをし、周りを巻き込みながら夢に向かって人生を歩む様は熾烈で苦しく息が詰まります。
しかし、そんな二人や周辺人物をコミカルに、軽やかに、でも丁寧に描く描写力は圧巻です。
そしてやはり多様なファッションにも注目です。眺めているだけでもため息がでるほど素敵です。

2000年代初期の作品ということで、あの時代の空気感をそのまま真空パックしたような懐かしさに浸れます。
音楽が時代を動かし、世間を巻き込み、田舎の少女が国民的大スターになる。
そんな夢みたいなストーリーが現実にあり、誰もが熱狂していました。

残念ながら2022年現在は休載中で再開の目処はたっていないようですが、矢沢先生の体調のご回復を祈りながら再開を気長に待ちたいと思います。