色褪せない名作
矢沢あい作品はおしゃれな絵柄とファッションやインテリアもさることながら、緻密に張られた伏線や、丁寧な心理描写が見事です。
特にNANAはそれまでの少女漫画テイストとは違い、恋愛、仕事、人間関係などにリアリティがあり味わい深い辛口な大人向けの作品になっています。
ストーリーは二人のNANAを中心に進みます。
まさに少女まんがの主人公!な平々凡々な夢見がちな奈々と、パンクロックバンドのボーカルを勤めるナナ。
見た目も性格も正反対の二人が運命的な出会いをし、周りを巻き込みながら夢に向かって人生を歩む様は熾烈で苦しく息が詰まります。
しかし、そんな二人や周辺人物をコミカルに、軽やかに、でも丁寧に描く描写力は圧巻です。
そしてやはり多様なファッションにも注目です。眺めているだけでもため息がでるほど素敵です。
2000年代初期の作品ということで、あの時代の空気感をそのまま真空パックしたような懐かしさに浸れます。
音楽が時代を動かし、世間を巻き込み、田舎の少女が国民的大スターになる。
そんな夢みたいなストーリーが現実にあり、誰もが熱狂していました。
残念ながら2022年現在は休載中で再開の目処はたっていないようですが、矢沢先生の体調のご回復を祈りながら再開を気長に待ちたいと思います。