光の巨人は美しかった!
オリジナルの『ウルトラマン』へのオマージュをたっぷり盛り込みながら、現代の科学的考証と実在の自衛隊の装備を駆使して怪獣と戦う人々と、"ウルトラマン"を描く、それは全く新しい"空想特撮映画"でした。
長きにわたりスーツアクターが演じていたウルトラマンや怪獣の姿を精緻なフルCGで描き、その動きを庵野監督が自らモーションキャプチャーで演じたというその拘りっぷりが画面から炸裂して、見る者の心を鷲掴みにしています。
そして、その中で描かれているさまざまな陰謀や不条理がなかなかに辛辣で、ウルトラマンは完全な正義ではなく、そして地球人の存在と平和が至上の命題ではないということが大変興味深いです。
地球人類だけでなく、ウルトラマンを含む”外星人”にもいろいろな思惑があり、勧善懲悪ではない物事の流れの中で、しかし危機的状況に陥った地球人類を如何にして守っていくか…という究極の選択を迫られたときに、ウルトラマンは何を思い、誰とどう戦っていったのか…スピーディな展開のなかで、ウルトラマン=光の巨人は美しく、そして彼(?)自身が得た結論にたどり着くために身を投じていくのです。
最初は無機質な姿に見えたウルトラマンでしたが、その内面に変化がおこると、次第にその表情は柔和に見えて、口元に微笑みすら感じるようになりました。
地球人との融合がもたらしたその変貌もこの作品の大きな見どころです。