シン・ウルトラマン / Shin Ultraman

シン・ウルトラマン / Shin Ultraman

『シン・ウルトラマン』とは、脚本・庵野秀明、監督・樋口真嗣による、人類のために戦う異星人ウルトラマンと、その周囲の人々の活躍を描いた映画作品。日本を代表するクリエイターによる伝説的な特撮作品のリブートということで、公開前から大きな話題となった。
突如日本に出現し始めた巨大生物、禍威獣。その脅威に対抗するため結成された禍特隊の前に、銀色の巨人が現れる。ウルトラマンと名付けられたその巨人は禍威獣から人々を守るように振る舞い、禍特隊がその謎を追う一方、地球にはかつてない危機が迫っていた。

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シン・ウルトラマン / Shin Ultraman
10

光の巨人は美しかった!

オリジナルの『ウルトラマン』へのオマージュをたっぷり盛り込みながら、現代の科学的考証と実在の自衛隊の装備を駆使して怪獣と戦う人々と、"ウルトラマン"を描く、それは全く新しい"空想特撮映画"でした。
長きにわたりスーツアクターが演じていたウルトラマンや怪獣の姿を精緻なフルCGで描き、その動きを庵野監督が自らモーションキャプチャーで演じたというその拘りっぷりが画面から炸裂して、見る者の心を鷲掴みにしています。
そして、その中で描かれているさまざまな陰謀や不条理がなかなかに辛辣で、ウルトラマンは完全な正義ではなく、そして地球人の存在と平和が至上の命題ではないということが大変興味深いです。
地球人類だけでなく、ウルトラマンを含む”外星人”にもいろいろな思惑があり、勧善懲悪ではない物事の流れの中で、しかし危機的状況に陥った地球人類を如何にして守っていくか…という究極の選択を迫られたときに、ウルトラマンは何を思い、誰とどう戦っていったのか…スピーディな展開のなかで、ウルトラマン=光の巨人は美しく、そして彼(?)自身が得た結論にたどり着くために身を投じていくのです。
最初は無機質な姿に見えたウルトラマンでしたが、その内面に変化がおこると、次第にその表情は柔和に見えて、口元に微笑みすら感じるようになりました。
地球人との融合がもたらしたその変貌もこの作品の大きな見どころです。