孤狼の血

孤狼の血

『孤狼の血』は、柚月裕子による全3作の長編警察小説シリーズ。暴力団対策法成立前の昭和63年の広島を舞台に、暴力団系列の金融会社社員の失踪事件を追う刑事や、暴力団組織間の激しい抗争を描いている。第1作となる『孤狼の血』は『小説 野性時代』にて2014年から2015年にかけて連載され、単行本が2015年8月29日に発売された。第69回日本推理作家協会賞受賞作。本作は白石和彌監督、役所広司主演で映画化されており、2018年5月12日に公開された。

go-1126699686594383289821のレビュー・評価・感想

孤狼の血
7

型破りなマル暴刑事と止められないヤクザ抗争。巻き込まれる新人刑事の行く末は必見。

昭和末期の架空の都市、広島県呉原市が舞台のフィクション作品です。
悪事に手を染めながらも陰でヤクザ抗争を抑え込んでいるベテラン刑事大上(役所広司)と、新人刑事日岡(松坂桃李)を中心に話が展開されます。
日岡は大上が過去に起こした事件を調査するために県警本部から送りこまれたのですが、大上や大上に関係する人物に振り回されていきます。

大上の努力も虚しく、ヤクザの抗争は少しずつ抑えきれなくなっていき、後半はどんどんシリアスな内容になります。
過去に大上が起こしたと言われている事件や警察の陰謀なども明かされていき、全体的に中身の濃いストーリーです。

大きな見所は日岡の変化していく姿で、大上と行動を共にして何を感じ、どうなってしまうのかといった部分も楽しみの一つです。
当初の目的である大上の調査は遂行できるのか、大上のような刑事になってしまうのか、日岡にとっての正義とは何か、心が揺れ動く様子が描かれています。

基本的にはヤクザの抗争を取り巻く人間模様がストーリーの中心になっているのでヤクザ映画が好きな人は楽しめます。
暴力シーンなど過激な内容が多いので、その点では観る人の好き嫌いが分かれる部分です。

続編もあるので、本作を最後まで観た方はきっとlevel2も気になるはずです。