孤狼の血

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孤狼の血
9

ただのヤクザVS警察の物語ではない

過去に因縁ある2つの暴力団組織が一触即発の状態にある中、マル暴の大上(役所広司)と新米刑事の日岡(松坂桃李)がたちはだかる物語。
一見、ヤクザVS警察の構成に見えますが、利権にまみれた人の欲求とエゴがリアルに描かれており、
それぞれの思いが複雑に絡み合い、より深みのある物語に作り上げられています。
また暴対法前の時代背景であるのもさることながら、ヤクザの堅気への粗暴ぶり、
暴力的かつ残酷なシーンが多く散りばめられており、逆にそれが多くの視聴者から高い評価を得ています。

■あらすじ
舞台は昭和63年、広島県呉原市。(呉市がモデル)
ある日、サラ金業者の経理部社員(ヤクザ下部組織、「加古村組」のフロント企業)が失踪した事で、
呉原東署マル暴の大上は加古村組が関与していると睨みをかけ捜査を開始。
※実際はその通りで加古村組は対抗組織、呉原の地元ヤクザ「尾谷組」に強襲する為の資金集めに当該社員にサラ金の売り上げを横領させ、拷問の挙句、始末されていた。
(理由は実際に視聴して確かめてみてください)

そんな中、広島大学卒の新米刑事、日岡が大上のパートナーとして赴任。
大上からすればそんなエリートが何故こんな地方の署になるのかと思いつつ共に事件の捜査を開始する事に。(そんな日岡は広島県警から送り込まれた大上の内偵役でありました。)

正義感が強く不正は許さない真っ直ぐな性格の日岡は、
大上の普段の横暴な立ち回り(放火や窃盗など、加古村組殺人関与の証拠を浮き彫りにする為ならどんな手も使う横暴な大上の捜査内容)に大きな不信を抱き始めます。
また、尾谷組との癒着などを目の当たりにし、これらを県警へ報告し彼の処分を提案しました。
しかし県警にとって何よりも大上への嫌疑は、過去に犯した殺人疑惑の真実が内偵最大の理由であり、
とにかくその証拠の炙り出し及び、大上が書き綴っていた、ある日記を入手しろと内定を続行させます。
(日記の内容は県警の真実が赤裸々に書き記されていた)
何が何でも大上を引きずり下ろしたい県警の真の思惑を知らずして純粋な正義感で内偵を続ける日岡。
共に捜査をしていく中で大上の素行にもはや彼の過去の殺人は疑いの余地なしと高を括っていましたが、
その真相はあまりにもかけ離れた事実でありました。
そんな中、ヤクザ同士の抗争を抑止しようと火の中に入り込み続ける大上に身の危機が、、そして日岡はそんな彼にどう向き合っていくのか…。