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画面が明るいホラー
ホラー映画と言えば、暗闇の中で怖いことが起こるというのが定番だろう。
しかしこの作品の場合、怖いことが起こるのはほとんど明るい中なのだ。
舞台となるのが白夜中の小さなコロニーなので、夜中でも明るいままなのだ。
ちなみに冒頭で主人公の家族が死んでしまうシーンがあり、それは夜なのだが、あくまで怖いシーンではなく悲しいシーンとして描かれている。
主人公たちは90年に一度行われるという祭典に訪れるのだが、そこで最初に行われる儀式がなかなかショッキングだ。
老人二人がそれぞれ高い崖から飛び降りるという物なのである。
この現代で、実際にこのような儀式を行っている集落があったりしたら、なかなか怖いだろう。
そんな不穏なことが起こる映画ではあるが、なんだか場違いでおかしなシーンもある。
「子どもたちがオースティンパワーズを観てるけど一緒に見る?」と主人公たちが誘われるのだ。
オースティンパワーズと言えば有名なコメディ映画だが、現代的とは言い難い小さな集落で、
しかもホラー映画の中でその名前が出てくると、なんだかコミカルに感じる。
ラストでは主人公の恋人が炎に焼かれることになるわけだが、それを目の当たりにしながら満面の笑みを浮かべる主人公の顔がアップとなって物語は終わる。
後味は悪いようで、しかし主人公にとってはある意味でハッピーなラストとなっている、少し癖のある作品と言えるだろう。