ものすごくうるさくて、ありえないほど近い / Extremely Loud & Incredibly Close

ものすごくうるさくて、ありえないほど近い / Extremely Loud & Incredibly Close

『ものすごくうるさくて、ありえないほど近い』とは2011年のアメリカのドラマ映画。監督はスティーブン・ダルドリー。原作はジョナサン・サフラン・フォアの同名小説。9.11のアメリカ同時多発テロで父親を失ったアスペルガー症候群の傾向を持つ10歳の少年オスカーの葛藤と成長を描いたストーリー。オスカーと母が家族の理不尽な死と向き合い、愛情によって親子関係を修復し、絆を強めていく。映画評論家の反応は賛否両論であり、アメリカの有名な賞にノミネートこそしたが、ほとんど受賞を逃した。

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ものすごくうるさくて、ありえないほど近い / Extremely Loud & Incredibly Close
10

青い鳥のように、大事なものは結局身近にあったんだと思う映画

9.11のテロは当時、遠く離れた日本ですら驚きと恐怖を感じた。
当時のニューヨークに住んでいた人にとっては、その思いはもっと強かっただろう。

この映画は2001年に発生した、アメリカ世界同時多発テロ事件にまつわる映画である。
主人公のオスカーは、テロによって大好きだった父親を亡くす。
その一年後、ふとしたことからクローゼットの中にしまわれていた花瓶から、ひとつの鍵を見つける。
主人公のオスカーはアスペルガー症候群で、コミュニケーションに問題を抱えている。
人との関わりも苦手で、母と喧嘩をすることもある。
それでも大好きだった父の面影を探して、子供ながらニューヨーク中を歩き回るオスカーの姿は、健気で心が温まる。
途中で出会う間借り人やたくさんの「ブラック」さんとの出会いなどによって、オスカーは成長し、本当に大切なものは何かを見つけることになる。
劇中で生きていたころの父を演じるのは、トム・ハンクス。
息子を愛する父は「調査探検」と称してオスカーにさまざまなことを教え、導く。
彼の残した軌跡はニューヨークのいたるところにあり、オスカーはかすかに光るそれを見失わないように奮闘する。
ひょうきんで明るい演技も、いずれテロによって死んでしまうのだという事実を感じさせて、切ない気持ちになる。
9月11日になると、この映画をきっと思い出すようになる。