シン・ウルトラマン / Shin Ultraman

シン・ウルトラマン / Shin Ultraman

『シン・ウルトラマン』とは、脚本・庵野秀明、監督・樋口真嗣による、人類のために戦う異星人ウルトラマンと、その周囲の人々の活躍を描いた映画作品。日本を代表するクリエイターによる伝説的な特撮作品のリブートということで、公開前から大きな話題となった。
突如日本に出現し始めた巨大生物、禍威獣。その脅威に対抗するため結成された禍特隊の前に、銀色の巨人が現れる。ウルトラマンと名付けられたその巨人は禍威獣から人々を守るように振る舞い、禍特隊がその謎を追う一方、地球にはかつてない危機が迫っていた。

2yiwamotorisa666のレビュー・評価・感想

シン・ウルトラマン / Shin Ultraman
7

『シン・ウルトラマン』で描かれる「人間讃歌」に迫る

『シン・ウルトラマン』は「ウルトラマン」の存在を「理解不能」な存在にすることに特化した作品だ。
彼らは「光の星」に住む宇宙人で、人間よりも高度な存在であることが今作では描かれる。
いわゆる「一個体」として完成された存在というわけだ。つまり「神」にも等しい存在だとも言える。
しかし、この物語で「神」にも等しい「ウルトラマン」は人間に「愛着」を持ってしまう。
人間は、「ウルトラマン」のように「一個体」で完成された存在ではない。
むしろその逆で「集団」で生活し、「群れをなすことでしか生きられない不完全さ」を持っている。

神にも等しい「ウルトラマン」が、なぜ「不完全な人間」を好きになったのか?
『シン・ウルトラマン』はその謎に迫る作劇になっている。
それは、「ウルトラマン」という高度な存在が、どれほど努力しても「人間」を「理解できない」からだ。

なぜ「群れで生きるのか?」「他者を愛するのか?」「傷ついても、他人を愛せるのか?」
高度な存在がどれほど深く理解しようとも、この謎に答えが出せない。
だからこそ、「ウルトラマン」は「人間を好き」になったことを最後に告白する。

これは我々も共感できることだ。
我々も「他人」を完全に「理解」することはできない。
それでも「他人」のことを「好き」になるし「愛する」こともある。

そんな「理解不能」である「人間」の素晴らしさをこの作品は示してくれているのだ。
つまり「人間讃歌」が描かれているとも言える。
この「人間讃歌」の描かれ方が、個人的に大変印象に残る作品であった。