人間失格 太宰治と3人の女たち

mahiro109i2のレビュー・評価・感想

人間失格 太宰治と3人の女たち
8

エロティシズムを感じない蜷川実花作品

監督が蜷川実花ということもあり、全体的に赤が多く使われている印象。
かといって、他の作品同様に全般的に色彩豊かに描かれている。
中盤からの吐血シーンは、雪とのコントラストが鮮やかに表現されており、美しくさえ感じられる。
主人公の太宰治は小栗旬が演じるが、実際は身長が180センチメートルもないため違和感を感じてしまう。
愛人役を演じる沢尻エリカはもちろんのこと、二階堂ふみの体を張った演技力には多くの人が圧巻させられるだろう。
愛人との生活が多いことから、分類としてはアダルトに含まれるのかと思いきや、単なるR15指定のドラマとなっているのは驚きだ。
ストーリーは人間失格の映画化ではなく、作家太宰治と妻を含めた太宰治を取り巻く女たちとの関係が描かれるものだ。
序盤は入水自殺未遂から始まり、太宰治がどんなに女性に関して体たらくであったか理解させられてしまう。
自宅には3人の子どもがおり、太宰治のファンであった静子も1人もうけることになる。
静子の後にBarで働く富栄と関係を持つようになり、富栄からも子どもが欲しいとせがまれるが思いとどまる。
女ごとに1作ずつ小説が発表されていき、家族がそれを見守っていた。
終盤は、アルコール中毒と肺結核と格闘しながら執筆活動を続けようとする苦悩が描かれている。
おおよそは良いが、太宰治の身長に難ありのため本評価は8とした。