ストーリーのテンポがよく、あっという間に物語の世界に引き込まれること間違いなし。
原作はルイーザ・メイ・オルコットの『若草物語』。
あまりにも有名で、今までにも何度もドラマ化・映画化されてきた作品だ。
本作はグレタ・ガーウィグ監督によって2019年に制作された映画だ。
これまでの素晴しい作品と、どう差をつけるのか楽しみだったのだが、「そう来たか!」と驚きを覚える構成に感動し、2時間半という長い上映時間にもかかわらず退屈することなく楽しめた。
この作品は時系列が行ったり来たりする。7年前の思い出を間に散りばめながら、現在進行形で物語は進められていく。
そのため『若草物語』をよく知らない方には初めは少々ややこしいかもしれない。
でも心配は無用だ。素晴らしい演技派のキャストたちや、女優業もこなす若手監督の手腕により、すんなり入り込めるはずだ。
例えば、猩紅熱により具合の悪かったベスが、ある朝ベッドにいない。
死んでしまったのでは?と階下に駆け下りたジョーが見たのは体調のよくなった彼女と、母、姉メグの姿だった。
7年後の現在、同じように病気で苦しむベスを見舞うジョー。あの時と同じく目覚めるとべスはいない。
階下に行くが以前とは違い、1人悲しみにくれる母の姿を見た。
何て上手い撮り方だろう。
次に、背景はもちろん4姉妹のファッションも是非注目してご覧いただきたい。
1860年代の衣装をそのまま再現したわけではないと思うが、煌びやかすぎない、中流階級のマーチ家のお嬢さんたちの服装を観て当時の雰囲気を味わえる。
幾度も見直したくなる名作のひとつだと思う。