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見る人の立場によって感じ方が変わる映画
愛人の子を誘拐することで始まる映画。やっていることは犯罪であるということは理解しつつも、話が進むにつれ感情移入してしまい、この親子が本当の親子でないことを憎んでしまうような感覚になる。
主演の永作博美の演技がまた素晴らしい。幸の薄い愛人から、子育てを通して母親になっていく表情や演技が自然である。
子役の子の純粋でまっすぐな演技も素晴らしく見ているこちらまでもがその子に夢中になってく。
警察に捕まり二人が離れてしまうシーンは何とも言えない感情になり胸が苦しくなる。
母親だと思って大好きだった人が誘拐犯で、見たことがない人がお母さんと言われても幼い子には理解しがたいであろうことが容易に想像できて苦しくなる。
誘拐犯にさらわれた子として生きていく中でその感情のやり場がないことを見事に井上真央が演じている。
途中に出てくる小池栄子の存在も圧巻である。
配役が素晴らしく、全員がはまり役であった。
当然見終えたあともすっきりハッピーエンド!というわけではなくしばらくは映画の世界観から戻ってこれず、ずっと何かがひっかりとれない映画。人間の欲、母性、弱さ、強さ…など色々なことを考えさせられる。人間の闇と光を映し出す作品が好きな方には非常におすすめの映画。