音楽を通して成長する少年の青春映画
音楽をテーマにした作品は数多くあるでしょう。この映画は、山﨑賢人演じる天才ピアニスト、有馬公生と、ヴァイオリニスト宮園かをり(広瀬すず)の二人の物語です。公生は母親の死がきっかけでピアノを弾くことができなくなってしまいました。母の厳しい指導で、ピアノを弾くことに自由さを感じられなくなっていたからです。山﨑賢人さんは、そんな公生のちょっと陰のある感じを見事に演じられていました。臆病で、あと一押しあれば公生はきっと母から克服できてピアノをもう一度弾けるようになるのにな、と見ていて思いました。そんな彼の考えを変えたのが、広瀬すずさんが演じる宮園かをりです。彼女は自由で、まるで春風のように公生に接していました。かをりは「コンクールでヴァイオリンの伴奏をやってくれ」と無理やり公生を誘って、二人は練習します。はじめは向き合おうとしなかった公生ですが、徐々に元のようにピアノが弾けるようになりました。ある舞台のシーンで、公生がかをりの言葉を思い出し、克服するシーンがあります。そこは感動的でした。しかしかをりは病気をもっていて、実はあまり長くないことを公生は知ります。彼女の自由さは、限りある命を懸命に生きているからでした。物語の終わりで、二人はお互いに想い合っていたことがわかります。悲しい結末ですが、かをりと公生は出会えてよかったなと思いました。