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「常識」をこわす熱意と知性
最初に出てきた主人公の少年が、地動説を証明していく話か〜なるほどね〜と思って読み始めたら一巻の終盤で予想を裏切られ一気に引き込まれました。天動説が当たり前だったとき、地動説を唱えたものたちは異端として拷問をうけ、2度目に捕まれば殺されていました。少年は秀才であり神学を学ぶことを期待されていたのですが、実際興味があるのは天文学です。周囲のプレッシャーに負けて神学を選ぼうとした時「異端者」の地動説学者と出会い、地動説が正しい、と直観します。ここが熱いです、周りの期待や常識でなく、自分の見つけた真実を追求し始めようとする姿、結局流されてしまう自分と比べてまぶしいです。そのあと、それに気づいた養父は、実は元異端者であるのですが、自分がまた捕まることを恐れて息子を通報します。拷問を受けることになった前日、少年は自分の信念のために自死を選ぶのですが、その時の言葉が感動的でした。感動は寿命の長さよりも尊いといった内容なのですが、少年は地動説が将来だれかに証明されることを託してなくなっていくのです。今は当たり前である地動説が実はこんなに長い歴史と戦いの結果証明され認められたということに感動します。エンタメとしても歴史漫画としても面白いです。