舟を編む

舟を編む

『舟を編む』は三浦しをんによる出版社の辞書編集部を舞台にしたヒューマン小説。女性ファッション雑誌『CLASSY.』に連載され、2011年に光文社から単行本が発行された。2012年には本屋大賞を受賞している。2013年には松田龍平主演で映画化、2016年にテレビアニメ化された。「玄武書房」に勤める馬締光也は、新しく刊行される辞書『大渡海』の編集メンバーとして辞書編集部に異動となる。辞書制作のために集まった個性の強い編纂者たちが奥深い辞書の世界にのめり込み、言葉に向き合う物語。

hayama475058711のレビュー・評価・感想

舟を編む
9

言葉について考えさせられる良アニメ

書房の辞書編集部に配属された主人公(まじめ みつや)は、同じ部署の仲間たちと手を取り合って、新しい時代のための辞書『大渡海』の編纂に注力する。コミュニケーションや交渉ごとが苦手なまじめだが、部署の先輩にあたる西岡のサポートもあり、辞書作りに奮闘する。辞書作りは、会社からは「金食い虫」と呼ばれており、会社側から人事・仕事ともに無理難題を押し付けられながらも、すべては一冊の辞書を作るがために奔走する人々の姿が描かれている。

辞書がどのように作られ、どのような思い・信念が込められて作られているのかを目の当たりにできるアニメであり、言葉の大切さや深さを感じられ、思わず国語辞典を開きたくなるような作品。一冊の辞書を作ることに精魂を込める、様々な人々の葛藤や努力も節々に垣間見え、いつのまにか登場人物全員を応援してしまうような不思議さがある。派手に騒いだりキラキラした描写がされているシーンはなく、終始穏やかなペースでストーリーは展開されるが、どんどん次が観たくなるような感情描写がされていて、全エピソードを一気に観てしまった。

作画も昔ながらの雰囲気の街並みや自宅を感じられる素晴らしい出来で、アニメの世界に自然と入り込めると思う。

主題歌は岡本体育さんの『潮風』という曲で、軽快な言葉の言い回しが作品にもあっている。