ノーカントリー

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ノーカントリー
9

ハビエル・バルデムの怪演に震えて欲しい

クライムストーリーが大好きで、静かに狂ってる悪役キャラが出てくるとわくわくする嗜好の私が断然お勧めしたい映画が「ノーカントリー」です。この映画に出てくる殺し屋「シガー」の圧倒的存在感が凄くて、見終わった後に魂が抜けました。
ストーリーはとてもシンプルな映画です。麻薬取引に絡む大金を目の前に、思わず手に入れてしまったケチなおじさんを殺し屋が付け狙うという筋書きなんですが、ここに出てくる殺し屋が「シガー」なんです。
出だしから普通じゃないです。シガーが保安官に捕まっているところから始まります。シガーは保安官を絞め殺して逃げるのですが、絞め殺す道具は手にはめられた手錠。これを保安官に後ろから巻き付け、思いっきり絞める、絞める、まだ絞める、というシーンのシガーの表情がヤバいです。目を思いっきり見開きつつ、ぷるぷる震えつつ、少し微笑んでいるような顔で絞めていく、既にこの時点でシガーが普通じゃないのがわかります。
次の殺人に使う道具も頭おかしい。豚さんや牛さんを屠殺するための家畜銃という道具です。自転車の空気入れにものすごい圧力の空気を入れて、それを「ぷっ」と吹き出すと圧縮空気がドアも破壊する威力。なおかつ銃弾とかの証拠も残らないという優れものです。酸素ボンベくらい大きなこの武器を軽々抱えていくシガーに惚れるしかありません。
シガーを演じたハビエル・バルデムという役者さんは、この映画でアカデミー賞助演男優賞を獲得しています。「この人、素でおかしいんじゃない?」と思うくらいのハマりっぷりです。
映画全体も当然おもしろいのですが、この「シガー」を見るだけでも絶対にお勧めの映画です。