心の芯に響く良作
映画で話題になってから読み始めた者です。正直、能力系のよくあるストーリーだろうと思い期待はしていませんでした。そしてその予想は間違ってはいませんでした。割りとベタな展開だし作画も上手とは言えない、読んだことのない人から見れば「なぜこの漫画が人気なの?」と思ってしまう作品ですが、なぜ人気なのか読んでみてわかったような気がします。
この作品の最もすごい所はキャラクターのセリフの熱さです。強敵との戦いなど重要な局面で発するセリフの真剣な気持ちが心に響いてきて作中何度も目頭を熱くさせられました。セリフ自体は難しいことは何も言っていませんので言い回しがとても上手いのだと思います。また、敵も敵なりに過去に挫折や絶望を経験したうえで主人公たちの目の前に立ちはだかっており、きちんとストーリーの中で語られているので誰もが彼らなりの正義を感じることができ、味方と同じくらい敵に対しても感情移入することができます。
私は代わり映えのない日常の中で少しずつ失われていった物事に対する熱意が蘇るような気持ちで、一度読み始めると続きが気になり止まらなくなってしまいました。そういう意味でいうと、子供よりもむしろ大人に読んでもらいたい作品かなと思います。