敗北から始まる挑戦の物語
スポーツものの多くは、最後は主人公が粘り勝つという進行が多いのであまり好きではなかったのですが、この作品は違いました。中学最後の試合や春高予選など、大きな試合でとことん負けます。そして、主人公らが負けた経験を糧に、勝利に向かってひたすら進む成長の物語で、読むたびに心熱くなります。特に、バレーに対して一歩引いた姿勢で真剣にできていなかった月島蛍が、白鳥沢学園との戦いで殻を破り、エース牛島のスパイクを完全ブロックした回は、彼の成長に感動して泣いてしまいました。今でも見直すたびに泣いています。
キャラクターの成長が細かく描かれているところがとても好きです。主人公とその仲間たちだけではなく、試合相手の過去の経験や試合中の成長も描かれているので、主人公のチームを応援したい気持ちはあるのですが、どうしても相手のチームにも感情移入してしまい、どちらも応援しています。青葉城西の及川と烏野の影山の中学時代のエピソードを見ていると、努力しているのに後から入ってきた天才的な技術を持つ後輩に、同じポジションを奪われる心配に駆られる及川の気持ちにとても共感してしまいます。
さらに、彼らが高校でバレーをしている間だけでなく、彼らが大人になってからの物語も描かれているのがよかったです。そして、一番恋愛が描かれなさそうな人の恋愛の場面ではスポーツマンガを見ているのに、にやにやが止まりませんでした。
多くの作品を見たり読んだりしてきましたが、ここまで感情移入し、ドはまりした漫画は初めてでした。