ミッドサマー / Midsommar

kumiko3のレビュー・評価・感想

ミッドサマー / Midsommar
9

最高の「最悪」。

奇才アリ・アスターによる長編ホラー映画です。
全編を通して明るく、パステルカラーの花が咲き乱れていますが、まぎれもないホラーです。あらゆる意味でトラウマをこさえてくるので、敏感な方は観ない方が良いかもしれません。わたしにとっては、見た後1か月ほど余韻が抜けず、気持ち悪い感覚に悩まされました(笑)。これほどの「最悪」の経験ができる作品はなかなかありませんね。怖いもの見たさでみてみたい方にはオススメできます。
ストーリーとしては、閉鎖空間で生殺与奪を握られながら、ひとりひとり、仲間が消えていく系の話です。
また、その閉鎖空間が「カルトな村」ということで、奇祭に参加させられたり、明らかにヤバイものを飲まされたり見せられたりと、生理的な不快感を煽りまくる。しかも「村」なので、その文化を尊重しようという今どきらしい視点も働いて、簡単に善悪を決めて糾弾することができない。結果的に、目の前で繰り広げられる光景が、自分の常識と違いすぎて吐き気すら催します。すごいのは、最初は直接身の危険を感じるようにはなっていないこと。徐々に、徐々に、真綿で首を絞めるように逃げ道を塞がれて、気づいた時にはもう村から逃げられなくなっています。
他にも、不快な低音がグルグル鳴っていたり、眩暈を起こすようなカメラワークだったり、「不快感」を催させるための小技がこれでもかと効いてます。
そして、最後のクライマックス。スッキリするという人もいますが、私は最悪の経験を疑似体験しました。立場によっても分かれると思いますが、感情移入しながら観る人にとっては、かなりのトラウマを催す展開です。
文句なしの★9ただし二度と観たくない。そんな映画でした。