「成長」をテーマにした大ヒットテレビゲームの漫画版
90年代を代表する週刊少年ジャンプ連載作品。
テレビゲーム「ドラゴンクエスト」を題材としているが、ゲームをプレイしたことのない人でも問題なく楽しむことができる。
それは本作が持つ「成長」という普遍的なテーマと大きく関係しているように思える。
ダイの大冒険の登場人物の多くは時間の経過とともにはっきりと「成長」する。
身体的な変化という意味ではなく、作中で経験した出来事から影響を受けた行動、発言をするのである。
その成長が最もわかりやすいのは魔法使いのポップである。
物語の序盤は臆病・薄情・卑怯といった典型的なヘタレのキャラクターであった。
しかし、尊敬する師と出会い仲間と死線を潜り抜けていくうちに、次第にたくましく成長していく。
そして他人の為に自身を犠牲にできる強い心を持つようになる。
この「成長」の過程がしっかりと物語で描かれているので不自然に思うことが全くない。
また、主人公の味方だけでなく敵も「成長」することによって、単なるバトル漫画とは一線を画す人間ドラマが展開されている。
物語の後半は成長した登場人物たちが集結し、ラスボスである大魔王に挑む。
ここで集結した仲間たち全員に「成長」を感じることができる。
この感情の高まりこそがダイの大冒険の最大の魅力と言っても過言ではないだろう。
全ての登場人物が物語の中で、紛れもなく生きているのだ。