シン・エヴァンゲリオン 25年間の総括としてのレビュー
1.今迄で最高のロボットアニメ
ビジュアル、ストーリー、キャラクター、音楽、声優。どれを取っても今世紀最高のロボットアニメの傑作である。私がここまでハマり込んだアニメはない。誰に何と言われようが最高傑作である。正確にはエヴァはロボットではない。究極のヒト型決戦兵器であり、厚い装甲板は拘束具である。本体は使途と同じ生物である。ただ、庵野監督はあくまでエヴァはただのロボットアニメと言っている。あしからず。なお、最後のシン・エヴァンゲリオンが最高だったかと言うと私個人の感想は「最高のアニメのテクノロジーを駆使し、多くの謎かけへの回答を行い、ファンが納得の行くストーリーに上手い事まとめあげた秀作」という所だ。
良く出来た作品だと思うが、これで永遠に繰り返すとも思われた謎解きのドラマがここで完結すると思うと一末の寂しさがあった。もちろん全ての謎が説かれた訳ではないが
ネット上のネタバレ記事や考察を読んでいるとほぼ理解出来たと思う。だから”寂しい”のである。
2.もうあの感動は訪れないのか
最初にエヴァを見た時の印象は強烈だった。海、戦車、蝉の鳴き声、静けさから始まる物語は”ウルトラセブン”で用いられた手法でもある。突然現れる“使途”これまでロボットアニメや特撮で描かれてきた怪獣、怪人とは全く異なるビジュアルである。何をモチーフにしているかさえ全くわからない。おまけに”使途”は”Angel”だ、天使が敵なのだ。
国連軍は使途に全く敵わない。「君たちなら勝てるのかね?」の問い対し「その為のネルフです」が碇ゲンドウの答えだ。これから始まるエヴァの戦いに胸が躍る。
しかし、父親から呼び出された主人公の碇シンジはエヴァに乗ろうとしない。代わりに呼び出されたのが綾波レイ。ストレッチャーに乗せられたレイは眼帯をし全身包帯
巻かれている。エヴァに乗ろうとするレイ、駆け寄るシンジ。その手には”血”だ。
今迄のアニメにこんな始まり方は無かった。25年も前だがそのショッキングなエヴァ初登場シーンは多くのファンの心を打った。
シンジはエヴァに乗る。しかし歩くことも出来ない。暴走。結果的にシンジはまともに操縦出来なかったがエヴァ自らが持つ力を解放する”暴走”で使途を破る。使途のATフィールドを軽々と打ち破り、コアを攻撃して殲滅した。
この様に第1話だけでも、多くのショッキングな映像と謎、使途、ATフィールド、エヴァ、暴走様々な謎を残して第1話が終わる。
以降、エヴァは我々に多くの謎解きの面白さとビジュアルのう美しさ、ダイナミックな映像、時にコミカルな演出、やたらと細かい拘り(車がルノーだったり、ノートパソコンがダイナブックのタフノートだったり)音楽の素晴らしさだったり話われファンに沢山の楽しみを与えてくれた。
3.これ以上のものを求めたら庵野秀明は死ぬかもしれない。
以上、本来はエヴァのストーリーの根幹にある、ヒトの心、自分の心と他人の心を隔てるATフィールドから自他を統合する「人類補完計画」にも触れたいのであるが今回はここまでとする。なお、エヴァを超える作品を期待するが、これ以上のものを求めれば、庵野監督は本当に死んでしまいそうなので、それは止めておこう。