ひそねとまそたん / ひそまそ / Dragon Pilot: Hisone and Masotan

ひそねとまそたん / ひそまそ / Dragon Pilot: Hisone and Masotan

『ひそねとまそたん』 とは、ボンズ制作による日本のオリジナルテレビアニメである。
自分の思ったことをすぐ口に出してしまうため相手を傷つけてしまう、ゆえに自分を抑え込んで生きてきた甘粕ひそね。航空自衛隊員として、岐阜基地で働くことになったひそねは、戦闘機に擬態するドラゴンのような生物、変態飛翔生体(別名OTF)の飛行要員、通称Dパイロット(略してDパイ)に選ばれる。パイロットとの接触をずっと拒んでいたOTFとの間に、やがて絆がうまれる。

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ひそねとまそたん / ひそまそ / Dragon Pilot: Hisone and Masotan
10

日本という国を守るドラゴンと乙女たちの物語

航空自衛隊岐阜基地、通称「各務原(各務原)」に、こんもりとした山をくりぬいたような格納庫があります。そこにいるのは一匹のドラゴン、その名を『まそたん』。
主人公はそのまそたんを操縦して空を飛ぶ通称Dパイ(ドラゴンパイロット)の「ひそね」という若い女性自衛官です。

日本には昔から変態飛翔生体(OTF)と呼ばれる生物がいて、国を守ってくれる存在であった、という伝承と、それを今は政府の命で航空自衛隊が管理していて、彼らを守るために、そして隠すために戦闘機で擬態し、操縦するために女性たちが集められている、という物語なのですが。
監督の樋口正嗣氏は「シン・ゴジラ」でも発揮したリアリズムの追及をここでも徹底的に行っており。
さすがにドラゴンの「まそたん」の存在はフィクションではありますが、それ以外の、例えば空自隊員の日常の姿や装備品、舞台となる各務原の風景などを見事に忠実に再現して、見る者をぐいぐいとその物語に引き込んでいってくれます。
物語が進むにつれて明らかになっていくドラゴンの存在の意味と、集められた若い女性ばかりの操縦者たち。
彼女らが挑むミッションの端緒が明らかにはなりましたが、それを温かく見守っているおばあさん(太平洋戦争時にDパイであった『ラバウルの天女』の異名を持つ女性)の瞳には、一見平和そうな時代の風景と、74年前の過去が交錯し、これからの物語の展開に含みを持たせているのです。