スポーツ漫画には、あの時味わえなかった「青春」が詰まっている。
みなさんは『青春スポーツ漫画』と聞くと、どんな作品を思い浮かべるだろうか。ある人は「『タッチ』こそ最高」と答えるかもしれないし、「いやいや『スラムダンク』を超える漫画があるものか」と答えるかもしれない。『スポーツ漫画』というジャンルはこれまで色々な漫画家が生み出し、熱を注ぎ、時には世間に大きな流行や衝撃を与えながら成長してきた。最近は色々なスポーツに焦点を当てた作品も増えており、実在するスポーツ選手に影響を与えているものも多いかもしれない。そんな『スポーツ漫画』というジャンルの中から、個人的におすすめのものを一つ紹介させてもらいたい。それが、週刊少年ジャンプで8年間に渡り連載をしていた、高校バレー部の青春を描いた作品である『ハイキュー!!』である。主人公・日向翔陽は、スポーツ選手、特にバレーボールのような、身長が高いほど有利である競技において圧倒的に不利な「チビ」である。彼が持っているのはその身長のコンプレックスを大いに吹き飛ばすほどのバレーボールに対する熱意と、ジャンプ力だった。そんな日向は中学時代、影山飛雄という圧倒的実力差を見せつけられた相手に試合で完敗する。そんな影山をライバルとし、高校では彼を倒すため、憧れであった烏野高校バレー部へと入部。するとなんとそこで同時に入部してきたのは、ライバルと認め、絶対に倒すと心に誓った相手、影山であった。二人はそこでコンビを組むこととなり、お互いに切磋琢磨しながら、昔は強豪であったが今は「地に落ちたカラス」と呼ばれている烏野高校バレー部を盛り上げ、引っ張り、最終的に全国大会へと導いていく。私は運動が昔から苦手で、バレーもプレー経験があるものの知識についてはサッパリなのだが、そんなにわかな自分でもバレーという競技を理解でき、楽しめ、キャラクターの成長を見守りながら過ぎ去りし日の青春をもう一度味わっているかのような気分になれる作品だ。当たり前のことだが、スポーツや試合には勝ち負けがあり、いくら努力を重ねてきても最終的に勝たなければ意味がない。必ず『勝った人』と『負けた人』がいる世界、それぞれの苦悩や喜び、悔しさ、悲しさを作品を通して感じることができ、勝利を信じてただひたすらに努力を積み重ねる個性豊かな様々なキャラクターたちの汗と涙と青春の物語を、この作品を通して感じることができるのである。なんて、贅沢な時間なのだろうか。ただひたすらに何かに集中してみたい人には是非、この作品をおすすめしたい。