子供と大人の関係が希薄
作品自体の映像美や楽曲は素晴らしく、映画館で見て損はないと強くお勧めできます。しかしストーリーのことを言ってしまうと、「描きたいシーンを描くから前後のつながりや設定はどうでもいい」ような印象を受けてしまいました。
同じような世界観の以前の作品「サマーウォーズ」でやりたかったことは、細田守監督がデジモンアドベンチャーの映画「僕らのウォーゲーム」のラストシーンをオリジナルで描きたいが為に舞台設定に時間をかけたような印象がありました。今回はあまりにその先を見据え過ぎた所為か、世界観の設定がとにかく甘いです。
未来なんだか古臭いんだか、「U」という世界は現実世界にとってどのくらい干渉しているのか分からないです。母親が濁流下川に子供を助けるために入り命を落としたことと、ネットの世界で素顔を晒す事は別にイコールに思えないのに、イコールという危険な事としてとらえているのに違和感がありました。Youtubeなどは存在しない世界なんでしょうか?
そして親子の絆を描きたいのか、描きたくないのかも中途半端です。母を亡くした鈴を見守っていた大人たちは最後の最後鈴を1人で危険な所に行かせるばかり。ネットでの素顔公開以上に、暴力男のところに一人で行かせるのは大人としてナンセンスすぎるのではないでしょうか。