鬼滅の刃 / Demon Slayer: Kimetsu no Yaiba

鬼滅の刃 / Demon Slayer: Kimetsu no Yaiba

『鬼滅の刃』とは、吾峠呼世晴による日本の漫画作品、およびそれを原作とした映画・ゲームなどのメディアミックス作品である。スピンオフの小説・漫画も数多く存在する。
舞台は大正時代。家族を鬼に皆殺しにされ、唯一生き残ったものの鬼になってしまった妹の禰豆子(ねずこ)を元に戻す為、主人公の炭治郎(たんじろう)は鬼を滅する「鬼殺隊(きさつたい)」へと入隊。そこで様々な人や鬼と出会い、次々に新たな「呼吸」と呼ばれる技を会得。そして鍛錬を重ねながら、鬼の首魁である鬼舞辻無惨(きぶつじむざん)を倒す為に戦っていく冒険譚。
『週刊少年ジャンプ』にて2016年から2020年まで連載され、単行本全23巻の累計発行部数は2021年2月時点で1億5000万部を突破。
2019年にテレビアニメ化し、このテレビアニメで人気を確立。老若男女問わず人気を博して「国民的アニメ」と称されるようになる。そして2020年には『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』が公開され、日本歴代興行収入第1位となった。
企業やテーマパーク・各種飲食店などで多様に展開されたメディアミックスや、異例の能舞台化などでも話題を呼んだ。

FATDRAGONv3のレビュー・評価・感想

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鬼滅の刃 / Demon Slayer: Kimetsu no Yaiba
10

鬼の目にも涙

2020年一大ブームを巻き起こした「鬼滅の刃」。単行本は全23巻である。
それでは、鬼滅の刃について少しストーリーを紹介する。舞台は大正時代、親兄弟と貧しいながらも幸せに暮らしている少年:竈門 炭治郎(かまどたんじろう)が主人公。ある日、親兄弟を人喰い鬼に殺され、唯一生き残ったが鬼に変えられてしまった妹の禰豆子(ねずこ)を人間に戻す方法を探すべく、人喰い鬼を討伐する鬼殺隊(きさつたい)に入隊し、その成長を描いた物語である。
討伐すべきは人喰い鬼の始祖、鬼舞辻無惨(きぶつじむざん)であり、強力な力を有する鬼殺隊隊士「柱」のメンバーと共に数々の鬼との死闘が描かれる。
映画「無限列車編」では、鬼殺隊隊士として初めて「柱」のメンバーである煉獄 杏寿郎(れんごく きょうじゅろう)と任務を共にし、無惨直属の十二人の鬼「十二鬼月(じゅうにきづき)」の下弦の壱の位である鬼、魘夢(えんむ)を討伐するため、無限列車に乗車する。
十二鬼月とは、その強さから上弦(上位6体)と下弦(下位6体)に大別され、最も強い鬼が壱(1)、順に陸(6)番目まで位を授かる。本作の魘夢は下弦の位の中で最も強い鬼である。別名:眠り鬼と呼ばれ、人間を眠らせて自由自在に夢を見せることができる。「柱」の強さを持つ煉獄杏寿郎や、主人公の炭治郎も夢に堕ちてしまった。
鬼に殺されたはずの親兄弟が目の前におり、また幸せな時間が過ぎることに炭治郎は「このまま過ごすことができれば」という思いを抱くようになる。しかし、炭治郎は夢で見た親兄弟の発言に違和感を抱き、自身が夢を見ていることを自覚、また禰豆子が夢に堕ちずにいたことから、彼女の技も相まって炭治郎を目覚めさせることに成功。
煉獄杏寿郎や同じく鬼殺隊隊士として共に旅をする我妻 善逸(あがつま ぜんいつ)、嘴平 伊之助(はしびら いのすけ)も目覚め、魘夢に攻撃を仕掛ける。しかし、彼らが目覚めた頃には時すでに遅く、魘夢は無限列車に乗車する200名の乗客を食らい尽くすため、無限列車と一体化していた。
ここで、鬼を討伐する2つの方法について紹介する。それは太陽の光を当てる方法と、鬼殺隊隊士が有する日輪刀(にちりんとう)で首を落とす方法である。そこで炭治郎と伊之助は、無限列車と一体化した魘夢の首を探すべく列車の前方に向かう。煉獄杏寿郎と善逸、禰豆子は魘夢から乗客を守っていた。
そして列車の前方、石炭が積まれている車両から漂う鬼のただならぬ気配(匂い)に気づいた炭治郎と伊之助は、車両の床に首を見つける。催眠⇔現実を繰り返しながら、炭治郎と伊之助の2人で交互に首を攻撃し、その首を切り、魘夢を討伐することに成功。無限列車も停止し、乗客や炭治郎を含む鬼殺隊隊士の無事も確認し、一件落着のように思われた。
どこからともなく手負いの炭治郎を殺そうと、上弦の参(3)の猗窩座(あかざ)が出現。煉獄杏寿郎に「鬼にならないか」と提案をする。素晴らしい才能を持つ人間が老い、死んでいく姿を辛く見ていられないために鬼になることを提案している、と猗窩座は言う。
各々が上弦の参と柱という強さだけあって、猗窩座と煉獄杏寿郎は目にも止まらぬ速さで攻撃を繰り広げる。しかし、猗窩座の攻撃が煉獄杏寿郎に次々とダメージを負わせ、ついに煉獄杏寿郎のみぞおちに猗窩座の右腕が貫通する。いま鬼になるといえば傷が回復するため、鬼になることを自身に懇願するよう叫ぶ猗窩座。
煉獄杏寿郎は夜明けが近く、太陽の光が間もなく差してくることに気づき、また腕が貫通している状態で猗窩座を捉えることで首を落とそうとする。互いの力がぶつかり合う中、猗窩座は自身の腕を犠牲にして(鬼はすぐに生えてくるが)、煉獄杏寿郎から身を引き、間一髪のところで太陽の光から逃れることに成功。森の中へ逃げたところを、後ろから炭治郎が投げた日輪刀が猗窩座に突き刺さる。炭治郎の「逃げるな」という言葉に激昂するが、太陽の光から逃れるため逃走し、必ず炭治郎を殺害することを誓う。
一方、死期が近づく煉獄杏寿郎は最後の力を振り絞り、炭治郎に生家にいくよう告げる。炭治郎は自身の父親から受け継いだ「ヒノカミ神楽」が何なのか、煉獄杏寿郎に尋ねていたが、歴代の「柱」が残した手記に記されているかもしれないと説明する。
また、自身の弟と父への伝言、そして鬼である禰豆子に対し否定的であったが、列車の中で乗客を守っている姿を見て、禰豆子も立派な鬼殺隊隊士だと炭治郎に告げる。「胸を張って生きろ」、「今度は君たちが鬼殺隊を支える柱になるのだ」という熱い思いを託し、煉獄杏寿郎は最も敬愛していた母親のいるところへ旅立つ。
こうして無限列車編は柱である煉獄杏寿郎の死を以て完結。次なるストーリーは、アニメ第2期鬼の潜む「遊郭編」へとつながっていく。