竜とそばかすの姫

竜とそばかすの姫

『竜とそばかすの姫』とは、2021年の夏に公開されたスタジオ地図製作の細田守が監督を務める日本アニメーション映画。心に大きな傷を抱えた主人公の女子高校生が、仮想世界と現実世界での出会いを通して成長していく姿は見る人に勇気を与える。監督特有の空想と現実による2つの世界と2つのアニメーションによって紡ぎだされる物語は、かつてない圧倒的スケールとなる。SNSが当たり前になり目まぐるしく変化していく世界で、変わることの無い大切な物は何かを訴えかける作品となっている。

Tachi55のレビュー・評価・感想

竜とそばかすの姫
10

音楽も最高に美しく、ストーリーの伏線回収も綺麗!

何よりもまず、劇中冒頭の音楽がとても印象的でした。アルバムチャートで首位になったり、音響上映が決定するなど、とてもこだわりのある音楽であることがよく分かりました。ストーリーだけでなく劇中音楽にもよく意識を向けて鑑賞することをおすすめします。
作品の世界観が複雑過ぎると、疑問にずっと引っ掛かってしまうことが多いのですが、この作品は前提となる世界設定は大きいですがとてもシンプルで分かりやすく、展開するストーリーが入ってきやすかったです。
また、Uの世界では終始「竜」は誰なのか、どんな環境で生活しているのかについてとても想像を掻き立てられ、伏線回収でもスッキリするストーリーとなっていました。恐らく良い環境にはいない「竜」を、なんとか救い出そうとする勇敢な主人公に感情移入できるし、またシーンとしては短いですが、現実の片思いを描く場面では主人公の可愛らしい一面もあり応援したくなるような作品でした。
Uというデジタル社会と現実とで、別人として生きようとした主人公が最終的にはどちらも「同じ人物」として堂々と生きることを決意したことで、本当の自分を見つけ出し、またその自分を受け入れることができたのでメッセージ性の強い作品であると感じました。