川栄李奈さんが地味に凄い
実写版『亜人』、監督は「踊る大捜査線」シリーズで知られる本広克行氏であり、キャストも撮影技術も最高のものが集まった、と言ってよいと思っています。「るろうに剣心」で殺陣を始めとするアクションを極めた佐藤健、そして何でも自分のものとしてしまう綾野剛の両名が肉体の極限を極めるような壮絶な戦いを見せており、その意味では原作を超えたともいえる描写の連続で、見ているこちらの心拍数がガンガン上がる感じでした。そういった流れの中で地味に凄かったのが川栄李奈さんです。どちらかというとおっとりしたイメージの彼女でしたが、彼女が演じる下村泉はその正体が亜人であるにもかかわらず、公的機関に属してテロを防止する立場にいるスーツのお姉さんなのです。亜人特有の能力で自分の分身のように幽霊?を出して操ることができ、CGで表現されているそれと見事なコンビネーションを取りつつも自らスタントマンなしにワイヤーアクションをこなしていました。厳しい表情はこれまでに見たことのなかった彼女でしたが、その中でも幽霊をクロちゃんと呼んでいるところが他の亜人とは違う感じで、鋭さとチャーミングさがブレンドされていて、ああ、泉のキャラクターのこういうところを見せたくて彼女を選んだのか、とキャスティングを担当した方のセンスの良さを感じました。全編生身だけでなくガンアクションも凄い迫力でしたが、担当するのは納富貴久男氏であり、日本で最高峰のガンエフェクトが見られます。