ミッドサマー / Midsommar

ミッドサマー / Midsommar

『ミッドサマー』(Midsommar)とは、2019年に公開されたフォークホラー映画。監督は『ヘレディタリー/継承』などの作品で高い評価を得ているアリ=アスター、主演はフローレンス・ピューが務める。公開初週末に大きな興行収入を稼ぎ出すと予想されていたが、その予想は見事に的中。2019年7月の時点で全米2707館で公開され、週末興行収入ランキング初登場6位となった。批評家たちからも絶賛され、監督を務めたアリ=アスターの手腕にも「新たなホラーの巨匠」という高い評価が集まっている。日本では2020年2月にR15+指定で公開されたのち、同年3月にディレクターズ・カット版がR18+で公開された。
心理学を専攻する大学生のダニーは、双極性障害を患う妹が両親を巻き込んで無理心中したことで、心に深い傷を負っていた。そんなダニーと恋人のクリスチャンたちは、スウェーデンからの留学生・ペレからの誘いで彼の故郷であるホルガ村の夏至祭を見に行くことになった。村では誰もが白い服に身を包み、明るく笑いかけてくれる。しかしその夏至祭で、彼らは村の奇妙な風習に巻き込まれていくことになるのであった。

HAGr1のレビュー・評価・感想

ミッドサマー / Midsommar
8

最悪のハッピーエンド

この作品を最後まで見て抱いた感想は、「これは主人公にとってはハッピーエンドだな」というものでした。

主人公であるダニーは精神疾患持ちでヒステリック。作品序盤、父、母、妹の家族全員が、彼女だけを残して一家心中してしまいます。彼女は「取り残される」形になりました。4年付き合っている彼氏とも上手くいっておらず、ある種社会から隔絶された状態になってしまいます。そのように不安定な状態の彼女は、彼氏の友人の故郷であるホルガという村に行くことになりました。
その村はいわゆるカルト村で、1人の苦しみは村人全員で分かち合うという習慣があります。そんな村でダニーはメイクイーンというポジションに上り詰めたのですが、彼氏が村人の女性と性行為をしている場面を見てしまい、嗚咽を漏らします。そんな彼女を慰めるでもなく、一緒に嗚咽をあげる村人たち。彼女はそこで、村の共同体に組み込まれたのです。家族にも置いていかれ、彼氏からも愛情を感じられない。そんなダニーにはこれ以上のない救いだと思いました。メイクイーンになった彼女は、村人と彼氏どちらを生贄に捧げるか選ぶように言われ、彼氏を選びました。彼氏がいる建物が燃え盛る様を見て、微笑むシーンで終わります。カルト村で残酷な慣例に巻き込まれる、という点では間違いなく悲劇なのだが、依存していた最後の砦である彼氏を自ら捨て、共同体に組み込まれた彼女は孤独から救われることが出来たのです。これ以上のないハッピーエンドでしょう。