生きてるだけで、愛。

生きてるだけで、愛。

『生きてるだけで、愛。』とは、雑誌『新潮』2006年6月号に掲載された本谷有希子による恋愛小説、およびそれを原作とした実写映画作品。原作は前日譚の短編『あの明け方の』とあわせ、2009年3月1日に新潮文庫より文庫化されている。第135回芥川龍之介賞候補に選出され、単行本が第20回三島由紀夫賞候補になった。
実写映画は2018年11月9日公開。主演は趣里。監督・脚本は映像ディレクターの関根光才で、本作が長編劇場映画デビュー作となった。

haruriraのレビュー・評価・感想

生きてるだけで、愛。
9

人生を見つめ直す映画

過眠症や鬱を題材にした恋愛映画。
健康な人には理解されない寧子の言動が繰り広げられるが、最後の別れのシーン、「あんたが別れたかったら、別れてもいいけど。あたしはさ、あたしとは別れられないんだよね、一生」「いいなぁ津奈木。あたしと別れられて、いいなぁ」と、自分自身との葛藤を含んだセリフ。精神病の人だから思うことではなく、誰にでも持っている小さな悩みを代弁したような言葉に感じました。
「あたし」は「あたし」と一生別れられない。自分自身を受け入れ、自分自身と生きていく。簡単のようで難しい事だと思いましたが、タイトルの通り『生きてるだけで、愛。』は、生きているだけでその問題を解決する事ができるし、もしできそうになくても、ほんの一瞬自分や他人と分かり合える時がくる。その一瞬のために、これからも生きていく、と、伝えたい想いが溢れた映画、恋愛映画のように思えて自分と向き合うための映画だと思いました。
また、病気でも健康でも関係なく、人生を見つめ直すべきとき、おすすめの映画です。
趣里の迫真の演技にも注目。有名人だからとか2世だからとか全く感じさせない、この仕事でご飯食べていくといったプロ意識を感じさせられる映画となっていました。